金融庁のEDINETで2008年4月からXBRL形式での財務諸表提出が義務付けられる。これまでのHTMLと比較してデータの2次利用などが格段に行いやすくなり、手入力時のミスが減るなど効率性の向上も期待されている。富士通はこの義務化を受けて、財務データを簡単な操作でXBRL形式に変更できるソフトウェア「XWand Tool for EDINET」を3月11日に発表した。5月1日に販売を開始する。
EDINET(用語解説)に財務報告する企業は5000社程度といわれるが、現状でXBRL形式(用語解説)に対応できている企業は少ない。XWand Toolは、金融庁が定めた「EDINETタクソノミ」に準拠。業種別のタクソノミが用意され、自社の勘定科目に合わせてカスタマイズできるようになっている。そのカスタマイズしたタクソノミに対して実際の財務データを入力し、実際の文書であるインスタンスを作成する。作成できるのはXBRL形式の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書。
XWand ToolはPC上で動くクライアントアプリケーション。ウィザード形式でタクソノミの作成やXBRL形式データの出力ができるようになっている。財務、経理部門をユーザーに想定していて、Microsoft Excelからデータをコピーして貼り付けられるようにしている。また、作成した文書を提出前にHTMLで確認できる機能も付けた。価格は1クライアントで年額27万8000円(税別)、3クライアントで67万8000円。別に保守料がかかる。
金融庁による義務付けで5000社に及ぶ企業がXBRLに対応する必要があるが、企業の中であせる気持ちはないようだ。なぜなら、多くの企業は財務諸表の作成、提出に専門の代行業者を使っているから。企業は従来どおりに財務データを提出すれば、代行業者がXBRL形式のデータを作成してくれる。そのため、富士通は「XWand Toolの市場は小さい」(富士通 公共ソリューションビジネスグループ ソリューション開発センター センター長 遠藤明氏)とみている。
富士通の狙いはXWand ToolやXBRL対応のミドルウェア「Interstage XWand」を先行投入し、日本をXBRL活用のショーケースにすることだ。日本で蓄積したノウハウを基にソリューションを組み立てて海外展開する戦略を描いている。情報を提出する企業だけでなく、情報を受け取る監査法人、官庁・規制機関、情報を利用するアナリストや情報提供会社、信用調査会社などをターゲットにする。
実際、富士通のInterstage XWandはスペイン中央銀行など20カ国以上の組織で活用。東京証券取引所やEDINET自体でも採用されている。富士通はXBRL分野のビジネスで今後3年で300億円を売り上げる考え。日欧米で100億円ずつかせぐ計画だ。
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