一方の狭義の内部統制とは、主に金融商品取引法の一部(日本版SOX法)に対応して行われる統制活動を指します。そもそも、SOX法(サーベンス・オクスリー法)は米国で作られた法律で、エンロン事件やワールドコム事件など米国で不正会計事件が頻発したことを受けて、企業会計や財務報告の透明性・正確性を高めることを目的として作られたものです。
日本でもさまざまな不正会計が発覚したこともあり、米国SOX法をお手本としながら問題点を修正して作られたのが日本版SOX法です。米国SOX法と同様に、財務や会計にかかわる部分の透明性や正確性を上げるためのものです。
具体的には、従来から決算時に上場企業が公開していた決算報告書や財務諸表に加えて、新たに「内部統制報告書」と、それを監査人が監査したお墨付きである「内部統制監査報告書」を提出しなければならなくなりました。
施行前):決算においては、「財務諸表」と、それを監査人が監査したお墨付きである「財務諸表監査報告書」を提出すればよかった
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施行後):上記に加えて「内部統制報告書」と、そのお墨付きである「内部統制監査報告書」を提出しなければならなくなった
実際に日本版SOX法では、経営者が内部統制を評価して内部統制報告書を提出することを義務付けています。その際に、内部統制は有効でなくても法律違反ではありませんが、ウソをついて「有効でないのに有効である」と報告すると、虚偽報告で刑事罰の対象になります。
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