日本版SOX法の適用初年度となる2008年4月を前に監査法人トーマツは3月21日、日本版SOX法の内部統制報告制度への対応状況についての調査結果を発表した。内部統制報告制度への対応が必要な回答企業のうち、すでに99%が何らかの作業を開始しているという。
調査対象は上場企業、もしくは親会社が上場していて日本版SOX法に対応する必要がある292社。東証、大証の1部・2部上場企業は171社、新興市場上場企業は50社、非上場企業は62社、無回答は9社だった。
292社のうち、何らかの対応をすでに始めているのは99%に当たる290社。トーマツによると内部統制報告制度への対応は一般に「対応準備」(計画立案)、「文書化実施」「評価実施」「外部監査」の4段階のステップを取る。292社のうち、文書化実施の段階にいるのは42.5%(124社)で、評価を実施、もしくは実施中の企業も42.1%(123社)となった。85%近くの企業が内部統制報告制度への対応をある程度進めていることが分かる。「ほぼ対応済み」と回答した企業は6%だった。
上場市場によって対応の進捗度合いは異なる。大企業が多い東証、大証の1部・2部上場企業では「評価を実施」「対応済み」など、評価段階の企業が47%で最も多い。対して中堅企業が多い新興市場では、文書化段階が50%で最多だった。
内部統制報告制度への対応を進める上での課題は「内部統制の評価方法」が43%でトップ。文書化は作業量は多いが、テンプレートなどが出回っていて対応は比較的に容易だ。対して、評価は「各企業に合った方法を各社が自主的に構築することが期待されている」(トーマツ)といい、「創意工夫によって各社の事情にあった効率的な評価が可能な反面、特に初回対応においては、どのように評価を行えばよいのか戸惑いを感じる企業も多い」という。課題の2番目は「外部監査人との協議・折衝」で、トーマツは「初めてのことであり、戸惑いながら進めているものと思われる」としている。
もっとも企業によっては対応人員の少なさも課題かもしれない。調査によると、内部統制報告制度に対応する企業で最も多いのは「専任メンバーが0人、かつ兼任メンバーが1〜10人」というケース(32%)。次いで「専任メンバー1〜2人かつ兼任メンバー1〜10人」となっていて、多くの企業で数少ない専任メンバーが対応に当たっていることが分かる。トーマツは「特に評価実施段階からは、専任メンバーが手腕を発揮する機会が増える。一方、兼任メンバーは現場をよく知る強みを持つことが多い」と指摘し、「専任と兼任をバランスよく活用するのが肝要」と説明している。
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