アドビ システムズは4月2日、ダウンロード配信するFlash動画ファイルに対してアクセス権限を設定できるサーバ製品「Flash Media Rights Management Server」(FMRMS)を4月中旬に受注開始すると発表した。エンドユーザーの手元にファイルが残るダウンロード形式のコンテンツ配信では、従来アクセス権限の管理が難しく、商用サービス展開のネックになっていた。しかし、FMRMSを使えばダウンロード後のファイルに対しても制限をかけることができる。
FMRMSの仕組みはアドビがPDF文書などで提供しているアクセス管理製品と同じだ。ローカル環境のファイルを開こうとすると、インターネット上の認証サーバで認証することが求められる。ユーザーがID、パスワードを入力するとそのユーザーに応じたアクセス権限が設定される仕組みだ。閲覧可能な期限や回数、コピーの制限などを設定できる。ファイルを開くたびに認証するようにすれば、一度配布したファイルのアクセス権限を後になって変更することもできる。
FMRMSではFlash動画(FLV)を暗号化して配布する。ダウンロードしたユーザーがファイルを開こうとすると認証が求められる。現在は、アドビのアプリケーション開発プラットフォーム「AIR」上で動くアプリケーションと、 AIRで稼働する「Adobe Media Player」がFMRMSに対応している。Flash Playerでは、FMRMSで暗号化したFLVは開けないようだ。
アドビがFMRMSを提供する理由はコンテンツ保護機能を向上させ、Flash動画の商用利用を拡大すること。ダウンロード後の管理ができないことが商用サービス拡大の妨げになると考えたようだ。Flashのストリーミング配信については、アドビの「Flash Media Server」を使えば、リッピングが難しい独自のプロトコルで配信されてローカル側にファイルがキャッシュされない。また各種認証も利用できる。ダウンロード配信のFlash動画についてもアクセス制限機能を提供することで、アドビはさまざまな商用サービスのニーズに応えることができるようになる。
FMRMSはWindows Server 2003、Red Hat Enterprise Linux ES 4で稼働。WebLogicアプリケーションサーバ、Oracle Databaseが必要。日本での参考価格は税込みで546万円。
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