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» 2008年04月13日 00時00分 公開

情報マネジメント用語辞典:フィージビリティスタディ(ふぃーじびりてぃすたでぃ)

FS / feasibility study / 実行可能性調査 / 事業化調査 / フィージビリティ調査 / フィジビリティスタディ

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 計画された事業やプロジェクトなどが実現可能か、実施することに意義や妥当性があるかを多角的に調査・検討すること。調査自体に加えて、その結果をまとめた報告書を「フィージビリティスタディ」と呼ぶこともある。

 フィージビリティスタディは、政治・行政などが主体となって政策や公共事業の実現可能性や妥当性を評価することを指す場合もあれば、民間企業が事業やプロジェクトの市場性や採算性を検討することをいう場合もある。これらの計画や事業の実施(あるいは中止)の是非を決定したり、複数の計画案から最適案を選択したりするために行われる。

 フィージビリティスタディを最初に体系的に行ったのは、1933年に米国政府が設置した公共事業体、TVA(テネシー川流域開発公社)だといわれる。大規模な国土開発や社会基盤――例えばダムや原子力関連施設、空港、ごみ処理場など――の建設におけるフィージビリティスタディは技術的・経済的な実現可能性や環境への配慮もさることながら、政治的影響を踏まえた調査・検討が不可欠となる。

 民間企業が新規事業への参入や新商品の発売を検討する場合は、市場性や採算性、技術的実現性が主な評価項目となるが、そのほかにも自社の業務遂行能力、協力会社の確保、資金の手当てや知的財産権などについても調査する。さらには法的規制、景気動向、競合他社の状況といった外的要因を踏まえて、各項目に重み付けをして意思決定が行われる。海外進出の検討では、評価項目に相手国のカントリーリスク、輸送やコミュニケーションにおけるリスクなどが加わる。

 採算性の評価には、一般に損益分岐点分析やROI分析などが利用されるが、投資回収期間が長期に及ぶ場合は回収期間法、割引キャッシュフロー法(DCF)、正味現在価値法(NPV)、内部利益率法(IRR)などが使われる。

 基礎研究や技術開発に関するフィージビリティスタディは、研究テーマの新規性や有望性を(外部の)専門家が評価し、これに実用化した場合の事業性や今後の投資額を勘案して、評価が行われる。本格的な研究に入る前の予備研究自体がフィージビリティスタディと位置付けられることもある。

 ITシステム導入におけるフィージビリティスタディは、プロジェクト立ち上げ段階でプロジェクトマネージャが実施する予備調査であり、結果はプロジェクトオーナー(CIOなどの責任者)に報告される。報告書にはITプロジェクトの目的(ビジネス上の課題)、具体的な要求事項と制約事項、それらを満たすソリューション案、およびソリューションの実現可能性と期待される効果などを記載する。ソリューション案が複数ある場合は、比較検討の手順を含めて優先順位を示す。プロジェクトオーナーは報告書の内容が妥当だと判断すれば、プロジェクトの実施を決断する。詳細なフィージビリティスタディは、プロジェクト計画書の作成にも役立つ。

 フィージビリティスタディを実施する際には、評価項目の適切な選択が重要である。そして複数の項目を総合して判断を下す際の根拠を明示し、選択や決定に納得性を持たせるように留意する。また、何をもって成功とするか(成功指標)、マイルストーン(中間指標)などを明確に定義できるまで、綿密に行うことが大切である。

参考文献

▼『アジアIT標準化フィージビリティスタディ及び標準化体制調査成果報告書』 国際情報化協力センター/2006年

▼『MIS時代の経営者――フィージビリティスタディのすすめ』 P・J・ケリー=著/清水重亮、富田岩芳=訳/日刊工業新聞社/1969年


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