マイクロソフトは5月23日、「Microsoft Office」と連携し、Office文書のインターネット上の保存や閲覧を可能にする新サービス「Microsoft Office Live Workspace」の日本語版ベータサービスを開始したと発表した。Officeを持っていなくてもWorkspace上のOffice文書を閲覧できる。無償で使える。
Workspaceの基本機能は500MBのストレージだ。アドオン(Microsoft Office Live Add-in for Microsoft Office)をインストールしたWord、Excel、PowerPoint(対応はOffice XP、2003、2007)から文書を直接、Workspaceに保存したり、開いて編集することができる。ネット上に格納するため、自宅などどのPCからでも文書にアクセスできるというメリットがある。Officeをインストールしていない場合でも、WebブラウザでWorkspaceにアクセスしてHTMLに変換されたWord、Excel、PowerPointを閲覧したり、コメントを追加できる。Workspaceの利用にはWindows Live IDが必要。Windows SharePoint Servicesをベースに開発した。対応するWebブラウザはInternet Explorer 6.0以降とFirefox 2.0。
もう1つの主要機能は文書の共有だ。Workspace上に保存した文書に対して共有する別のユーザーを招待できる。メールアドレスを指定して共有する仕組みで、閲覧のみや編集も許可するなどの権限設定ができる。共有する文書に対してはチェックイン・チェックアウト機能、バージョン管理機能が使える。バージョン管理機能は独特で、最後の変更を自動保存するほかに、ユーザーが任意のタイミングで8つまで変更を保存できる。間違って編集して保存してしまった場合でも、過去のバージョンに文書を戻せる。マイクロソフトのインフォメーションワーカービジネス本部 シニアプロダクトマネージャ 鍵山仁一氏は「文書の作成はOfficeで、配布や共有など次のプロセスをWorkspaceが担う」と説明した。
また、Workspaceからダウンロードできるアドオンツール「Microsoft sharedView」をインストールすれば、Workspace上の文書を複数のユーザーで同時に編集することもできる。さらにOutlook 2003、2007と同期し、Outlook上の「連絡先」「仕事」「予定表」をWorkspaceと同期させることができる。
正式版の提供時期は未定だが、基本サービスは無料で提供し、ストレージ容量の拡張などは有償にする方針。Workspace内に広告も表示するが、主な収益源をすることは考えておらず、「Officeの利便性と魅力を上げることが狙い」とマイクロソフトのインフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員 本部長 横井伸好氏は強調する。マイクロソフトはクライアントソフトウェアとネットサービスを組み合わせる「ソフトウェア+サービス」戦略を採っていて、3月には中小企業や個人事業主を対象にした「Office Live Small Business」を提供開始した。
WorkspaceはクライアントのOfficeとの連携が前提であり、この点がネット上で完結するGoogle ドキュメントとの大きな違いといえるだろう。横井氏は「WorkspaceはOfficeの機能をネット側から補完し、強化するコンパニオンだ。決して、Office(の機能)をオンラインで提供するサービスではない」と述べている。
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