会津若松市は5月28日、庁内の約850台のPCで利用するオフィスソフトウェアを「Microsoft Office」から、オープンソースソフトウェアの「OpenOffice.org」(以下、OpenOffice)に切り替えると発表した。同時に庁内で利用する標準の文書形式としてODF(Open Document Format)を採用する。会津若松市の総務部情報政策課は「ユーザーインターフェイスや文書フォーマットが大きく変わったMicrosoft Office 2007の登場が、OpenOfficeへの切り替えのポイントだった」と話している。
情報政策課によると庁内には約1000台のPCがあり、1000人程度の職員が利用している。OpenOfficeに切り替えるのは、このうち職員が使っている850台。WordとExcelをそれぞれOpenOfficeに切り替える。窓口業務などに使う業務用PC150台はそのままMicrosoft Officeを使う。また国や県から配布される文書がExcelのマクロを使っているケースもあるため、一部PCでは併用するという。現在使っているMicrosoft Officeのバージョンは2003とXPが中心で、2007は使っていない。
切り替えはリース切れで新しいPCを調達する際に行う。新しく調達するPCにはMicrosoft Officeを導入せず、OpenOfficeを使う。情報政策課は2012年までに全庁のPCが切り替わると見込んでいる。Microsoft Officeから無償のOpenOfficeへの切り替えによる経費削減額は、5年で約1500万円。情報政策課はすでに職員に対してOpenOfficeの操作研修を始めた。
菅家一郎市長の記者会見
また、庁内の標準文書フォーマットをODFとする。菅家一郎市長はYouTubeで公開している記者会見で、「これまで何年も前にPCで作成した文書を最新のオフィスソフトで編集しようとしても取り扱いができなくなっているケースがあった」と指摘。「PCで文書を作成する際に国際標準の文書(ODF)を採用することで、このような事態を避けることができる」と説明している。
また、市がWebサイトで申請書などの文書を配布しても、市民が編集しようとすると「場合によっては有料のソフトを購入してもらう必要があった」として、ODFを採用することで「有料ソフトを使わずに編集できるようになる」と説明している。会津若松市の申請書ダウンロードページによると、市は現在、Word(.doc)、Excel(.xls)、PDFなどのフォーマットで申請書を配布している。
菅家市長は「市はOpenOfficeに代表されるオープンソースソフトウェアの活用を進めていく。導入に当たっては地元企業とも協力する」と話している。
OpenOffice採用のアイデアは情報政策課で生まれた。情報政策課は「市長や課長が職員のアイデアを許容し、試みを積極的に応援してくれている」と話している。
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