マイクロソフト日本法人、「執念とパッション」の3カ年計画発表エンジニア向けに1万ページの技術資料を公開

» 2008年06月07日 01時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 マイクロソフトの代表執行役 社長 樋口泰行氏は7月1日、3カ年(2009年度〜2011年度)の経営方針を発表した。キーワードは「地に足の付いた革新による確実な成長軌道」。前社長のダレン・ヒューストン氏の路線を継承しながらも「日本人なので顧客、パートナーと連携しながら現場をよりドライブしていける」と強調した。

 樋口氏の施策の目玉は、コンシューマー&オンライン事業部の設立。コンシューマ向けソフトウェア製品の「Windows」「Windows Mobile」と、オンラインサービスの「MSN」「Windows Live」を担当する。EMIミュージック・ジャパンの前の代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)である堂山昌司氏が代表執行役 副社長 コンシューマー&オンライン事業部担当に就任した。

マイクロソフトの代表執行役 社長 樋口泰行氏

 樋口氏は、「マイクロソフトはPCセントリックで、PCが唯一のデジタルエンターテインメントと思っていた。しかし、携帯やテレビなどいろいろなデバイスのPC化、IP化が進んでいる。いろいろなデバイスがつながるときにPCだけでなく、モバイルやIPTV、クラウドが包括してコンシューマに最大の付加価値を与えるビジョンでないとダメだ。コンシューマー&オンラインの事業部を立ち上げて、コンシューマ戦略を総合的に推進する」と話した。

3カ年の経営方針
新年度の注力分野

 新しい施策のもう1つの柱は企業向けソリューションビジネスの拡大だ。樋口氏はパートナーとの連携を強化する考えを示した。具体的には製品の品質向上と共に、エンジニア向けの技術資料の拡充を図る。品質向上では「(米国本社での)製品のテストで甘いところは日本でカバーする。日本でもテスターを持つ」と説明。技術資料の拡充では、2009年度の上期中に1万ページの英語の技術資料を日本語に翻訳し、公開するという。

 樋口氏は「パートナーを含めて、われわれの技術を担いでいただけるように信頼性を高め、技術情報の提供、開発者のサポート、営業支援を行って信頼関係を1つ1つ作っていく」と話した。「執念とパッションがベース。ビジネスは顧客とパートナーへのパッションと、ハートフルなオペレーションが重要。(顧客、パートナーと)共存共栄でやらせてもらう。そういう会社にならないといけない」

マイクロソフト日本法人の組織体制

 ビル・ゲイツ氏の退任、グーグルの台頭、オープンソースソフトウェアの一般化など、マイクロソフトにとってこれからの3年間はかつてない激変の時代になるだろう。日本法人を率いる樋口氏のメッセージは「執念とパッション」に象徴されるように精神論、根性論とも映る。「文化面で気持ちを変えていく」「当たり前のことばかりだか忘れがち」と樋口氏は述べ、社員の意識改革と、パートナーや顧客、エンジニアに「意地でも顔を見せる」(樋口氏)ことが自らの第一の仕事と自認しているようだ。

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