ITスキル標準(あいてぃーすきるひょうじゅん)情報マネジメント用語辞典

ITSS / Skill Standards for IT Professionals / ITスキル・スタンダード

» 2008年08月27日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 IT関連サービス分野(IT業界、および一般企業や行政、教育・研究機関などの情報システム部門を含む)における職種と、必要とされる技能(スキル)を明確にするために、経済産業省が策定したスキル体系。ITサービスのプロフェッショナルを育成・活用する際に共通に使える“ものさし”を提供することを目的に2002年5月に公開された。2008年3月には「ITスキル標準V3」が公表されている。

 日本初の職業別スキル・スタンダードである。スキル・スタンダードとは、その職業分野にどのような職種とキャリアパスがあるのかを明確にしたもので、職種ごとの仕事内容と必要な技能を定義する。人材育成や職制整備、教育計画立案などの“基準”となるもので、いわゆる「資格」とは異なる。

 ITSSは、11種類の職種に対してスキル・スタンダードを定め、それをレベル別にまとめた「スキル・フレームワーク」が定められている。職種別に1〜7のレベルに分けられえており、レベル1〜2がエントリレベル、レベル3〜4がミドルレベルいった具合に3段階に分類されている。

スキル・フレームワーク(職種 − 専門分野)

マーケティング マーケットコミュニケーション
販売チャンネル戦略
マーケティングマネジメント
セールス メディア利用型セールス
訪問型製品セールス
訪問型コンサルティングセールス
コンサルタント パッケージ運用
IT
BT(Business Transformation)
ITアーキテクト インフラストラクチャアーキテクチャ
インテグレーションアーキテクチャ
アプリケーションアーキテクチャ
プロジェクトマネジメント ソフトウェア製品開発
ネットワークサービス
ITアウトソーシング
システム開発

ITスペシャリスト セキュリティ
分散コンピューティング
ネットワーク
データベース
システム管理
プラットフォーム
アプリケーションスペシャリスト 業務パッケージ
業務システム
ソフトウェアデベロップメント 応用ソフト
ミドルソフト
基本ソフト
カスタマーサービス ファシリティマネジメント
ソフトウェア
ハードウェア
オペレーション サービスデスク
ネットワークオペレーション
システムオペレーション
エデュケーション インストラクション
研修企画

 ミドルレベルの場合、「スキルの専門分野が確立し、自らのスキルを駆使することによって、業務上の課題の発見・解決をリードすることができるレベル」と定義付けられている。スキル・フレームワークでは、職種別のキャリアプラン例なども例示されており、個人が自分のキャリアアップを構想する際の一助になるだろう。

 ITSSは2002年12月に経済産業省から発表され、その後の改訂と普及については情報処理推進機構(IPA)に引き継がれた。同ITスキル標準センターは2006年4月に「ITスキル標準V2」を、2008年3月に「ITスキル標準V3」を公表している。V3ではレベル1/レベル2の職種に関する基礎的知識の共通化、情報処理技術者試験との関係の明確化、コンサルタント、ITスペシャリスト、アプリケーションスペシャリスト職種での専門分野の見直しなどが図られている。また、ITスキル標準センターではITSSで定められたスキルを身に付けるためのカリキュラムの参照モデルとして、「研修ロードマップ」「ITスキル標準モデルカリキュラム」を公表している。

 一方、ITSSのより実践的な活用、普及・定着を目指す活動を担う民間団体として「ITSSユーザー協会」が2003年に発足している。ITSSユーザー会では、企業や個人のITSSレベルのアセスメント手法の開発・実施支援、およびITSSをベースに行われる各種活動から得られる知識を形式化して蓄積するSSI-ITSS(Standard Skills Inventory for ITSS)の運用を行っている。

参考文献

▼『ITエンジニアのための「ITSS V2」がわかる本』 高橋秀典=著/翔泳社/2006年9月


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