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» 2008年10月06日 12時00分 公開

データのバックアップ体制、万全ですか目指せ! ネット時代の幸せな管理者(11)(1/2 ページ)

企業が扱うデータ量は増え続け、その重要性も増している。今回はそのバックアップとリストアという運用の基本を解説する。

[山崎 佑司,@IT]

 前回の「システム管理、有事に備えておこう」では、企業のビジネス継続性や事業継続計画(Business Continuity Plan:以下、BCP)について紹介しましたが、今回は、そのビジネス継続に重要な役割を果たす、情報のバックアップの基本についてお話ししたいと思います。

情報のバックアップの必要性を再認識しよう

 皆さんの企業でも、日々の業務で情報が蓄積され、システム管理者の皆さんは、保護しなければいけない大量のデータに囲まれて過ごしていると思います。

 企業経営がITに支えられるようになり、データ量は増大の一途をたどり、また、その重要性はますます高まってきています。そんな中で、情報の保護、データのバックアップの重要性を認識していないIT管理者は皆無だと思います。

 しかしながら、各企業や部門で、バックアップ専任の担当者をアサインしている、またはアサイン可能な状況にあるという例は少ないのではないでしょうか。

 IT管理者の皆さんは、日々の運用業務に追われる中で、有事の際に必要なことだとは認識しながらも、バックアップという平常時にはそれほど効果を表さない業務を、後回しにしてしまうケースも多いのではないかと思います。

 現在の企業経営において、バックアップやディザスタリカバリの重要性を認識することは、ビジネス継続計画にも大きくかかわることであり、また、昨今頻発しているITインシデントへの対応としてコンプライアンスの立場からも、より重要度が高まってきているといえます。

 そうした背景のもと、バックアップ設計や運用を行うIT部門への要望はより厳しさを増してきています。ひと口にバックアップといっても、サーバ上のデータをすべてバックアップしておけばよい、という単純な考え方は通用しなくなってきているのです。

 それでは、バックアップ設計をするうえで検討すべきポイントを紹介しながら、バックアップについてより深く考えていきたいと思います。

すべてのデータは平等ではない

 企業が取り扱うデータは、ITへの依存度が高まるにつれて、年々増加しています。それもかなりのスピードで増えています。

 これらのデータの中には、業務で作成したファイルやデータ、財務経理などのデータ、電子メールや添付ファイル、サーバやネットワークの構成ファイルやログなど、さまざまなものが含まれています。また、どのデータも重要なものであり、失ってはならないものだと認識されています。

 しかし、情報量・データ量の増加に伴い、すべてのデータを平等にバックアップした場合、リストア時間もそれに応じて増加してしまいます。その結果、障害時や災害時にビジネスが停止してしまう時間も増加してしまうことになります。

 また、バックアップ時間そのものの増加により、計画していたバックアップ時間内に処理が終わらない、といった状況も発生しかねません。

 そこで、データを役割や性質に応じて分類し、それぞれのバックアップ設計を柔軟に変更していく必要が生まれてきています。次に掲げるのは、役割や性質によるデータの分類基準の例です。

  • 現在動いている案件で使用していて、更新・閲覧ともに頻繁に行われるデータ
  • 過去の案件で使用したもので、閲覧は多いが更新はほとんどないデータ
  • 閲覧されることは少ないが、法令などで保管期間が定められているデータ
  • 通常業務で閲覧する可能性は低いが、いざというときに閲覧できないと困るデータ

 こういったデータの性質に応じて、次にお話ししするRPOやRTOを決定し、最適なバックアップ手法を使い分けていくことが、今日のバックアップ設計に求められる要件となってきています。

対象の整理と優先順位付けがバックアップ設計の第一歩

 これらのデータの区分は、業種や各企業によって大きく異なってきますので、自社や自部門内に存在するデータを整理することがバックアップ設計の第一歩となります。

 一例として、弊社(テオーリアコミュニケーションズ)の場合を挙げておきましょう。弊社は、WebサイトやWebアプリケーションの制作を業務として行っています。

 インターネット上に公開しているWebサーバにアップロードされたHTMLファイルやプログラムは、成果物として重要なバックアップ対象となると想像されると思いますが、これらのデータの弊社でのバックアップ優先度は、実はそれほど高くありません。

 弊社では、Webサイトの制作スタッフが社内にいるため、HTMLファイルやプログラムは、それぞれのローカルのPC内や共有ファイルサーバ、本番サーバで公開する前にコンテンツをチェックするステージングサーバなど、複数の場所に保存されているため、担当者が必死になってかき集めればそろえることができます。

 それよりも重要なバックアップ対象となっているのが、Webサイトのアクセスログなのです。アクセスログは一般ユーザーからのアクセスによって生成されるため、担当者が何日徹夜しても取り戻すことはできません。そして、アクセスログはマーケティングの側面では、Webサイトの運用上、重要なデータなのです。そのため、Webサーバにおいては、アクセスログは、最重要バックアップ対象として設計を行っています。もちろん、HTMLファイルやプログラムも大切なバックアップ対象ではありますが、あくまでも優先度が、アクセスログよりは低いということです。

 この例のように、どのデータを優先すべきバックアップ対象とすべきかは、企業によって異なります。まずは、自分たちの周りにある、さまざまなデータの整理を行ってみましょう。

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