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» 2009年03月17日 12時00分 公開

「情報共有支援ツール」を総復習しよう改めて学ぶITキーワード(2/2 ページ)

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]
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情報共有の目的によって、選ぶべきツールは変わる

 次に情報共有をサポートする代表的なITツールの特性を見ていこう。現在、最も広く普及しているのが電子メールだ。これは手軽で便利なツールだが、情報量が増大すると連絡の見落とし、行き違いが発生しやすくなる。

 間違いなく業務上の指示を送るためのソリューションとしては、専門のワークフロー・ツールがある。稟議書の回覧や社内文書の申請業務によく適用されるが、中には取引先との購買・調達業務に利用されるような大規模なシステムもある。

 文書管理製品もワークフローとしての側面を持っている。例えば製造業の製品仕様書であれば、文書作成から承認まで複数の担当者・部門がかかわってくる。仕様変更などで改版・改訂があった場合に関係者に通知・合意を得ることが必要だ。こうして合意・承認が得られた文書は公式ドキュメントとして次のプロセスの参照情報となるため、それを必要とする個人・部門からのアクセスを許さなければならない。つまり、上述の「ワークフロー」と「ストック情報の有効活用」の2つの側面を持つソリューションだといえる。

 同種のソリューションにコンテンツ管理/Webコンテンツ管理がある。テキストやグラフィックなどのさまざまなデジタル・コンテンツを登録・管理し、Webサイトから情報配信するツールだ。社外の顧客向けサイトだけではなく、社内やパートナー企業向けの情報告知サイトに利用する場合もある。

 SFACRMも情報共有ソリューションと考えてよいだろう。SFAならば営業プロセスの状況、CRMなら顧客ライフサイクルにおける顧客情報の共有を支援する。といっても、営業担当者個々人の働きをマネージャに“見える化”することを主眼とするツールや、プリセールス→商品説明→個別商談というように営業プロセスで担当が分かれていることを前提に、その引き継ぎや連携を支援するツールなど、具体的な製品には特性があるので注意したい。

 ストック情報の管理で最も代表的なITツールといえば、ファイルサーバだ。これも電子メール同様、導入しやすいソリューションだが、利用者とファイルの量が増えてくると、ファイル/フォルダの整理がしきれず、何がどこになるのか分かりにくくなる。管理者にとっては、権限管理が面倒という問題もある。

 そうしたファイルサーバの弱点を補って、ファイルアクセスやセキュリティ機能を提供するものが、グループウェアに分類される製品に存在する。もともと、現在のようなファイルサーバが存在しない時代に、ファイル共有機能を提供するソリューションとして登場、一大ムーブメントとなったのがグループウェアであった。

 その後、グループウェアは部門掲示板や電子メール、ワークフロー、あるいは旅費精算や営業日報などのカスタムアプリケーションを持つ業務効率化ツールへと発達した。現在ではWebグループウェアが普及し、スケジュール管理と施設予約が標準機能として認識されているが、製品によって機能が大きく違うので購入前にきちんと検証することが必要だ。

 知識クリエーションのためのITツールは、百花繚乱(りょうらん)といったところ。電子掲示板(電子会議室)、ブログ、Wikiなどが主だったものだろう。電子掲示板は伝統的なツールで、テーマごとにスレッド(書き込み版)を立てて複数の人間が会話形式で書き込みを行う。議論が終わったスレッドは一種の議事録になるので、後から見た人にとってもどういう経緯で結論に至ったのかを知ることができる。

 社内ブログは、インターネット上で個人が情報発信するツールとして流行しているブログを社内の情報共有に使おうという発想だ。社員やグループごとにブログページを立てて、そこでの業務上の課題や提案などを書き込み、社内告知を行う。

 大企業になると、社内でどんな業務や研究が行われていて、どんな人材がいるのか分かりづらくなる。社内ブログは個人が主体となって“売り込み”を行うことで、社内の状況が分かるようにしようというわけだ。自律的な社内報と考えていいかもしれない。Wikiは1つの文書を複数の人間で書き換えながら、作っていくような場合に適している。ソフトウェア開発会社などで仕様書や設計書を作るために使われているようだ。

 こうした中、新しい情報共有ツールとして注目を集めているのが社内SNSだ。個人向けに普及・発展してきたSNSを企業向けにカスタマイズしたもので、ブログや電子メール、グループウェア機能などを提供し、社員同士のコミュニティ活動を促進する。

 SNSという以上、“知り合い”や“友人”といった人間関係に関するデータを保持するが、これに企業組織の公式な所属や役職などを加味して、コミニュケーション活動の活性化を支援する。具体的な機能は製品によって異なるが、普段会話する機会が少ない経営層や部門長との意見交換、企業ビジョンの共有、部門の壁を超えるコラボレーションなどを実現するものとして期待できそうだ。

必要な情報を、適切な人が、自在に引き出すために

 以上のような情報共有ツールを使うことによって、企業内の情報量はますます増加する。情報は適切な人が適時にアクセスできて意味あるもの。そんな適者適時アクセスを支援するソリューションとしては、エンタープライズサーチ(ESP)と企業情報ポータル(EIP)がある。

 エンタープライズサーチは、企業内に散在するさまざまな情報を横断的に検索するためのツールだ。「確か、○○に関する文書があったはずだが、どこに保存したか思い出せない」というときに威力を発揮する。インターネットを使ううえで検索エンジンが必要不可欠であるように、企業内情報へのアクセスにも必須の存在になりつつあるといっていいだろう。

 エンタープライズサーチは比較的新しい製品分野なので、インターネット向けの検索技術を転用したものから伝統ある全文検索システムが発展したものまで、各種の製品が市場に存在する。検索方式や対応規模などさまざまなので、ニーズに合ったものを選びたい。

 複数の情報共有ツールを併用する場合、エンドユーザーの負担を軽減するのが企業情報ポータルだ。そのエンドユーザーに必要な情報を、さまざまな情報共有ツールから取得して1つの画面に集約して表示する。

 情報アクセスという面で忘れてはならないのが、情報セキュリティの確保だ。いくら情報共有が大切とはいえ、社内外の誰もにあらゆる情報をオープンにしてよいわけではない。利用者個々人の所属部署や職種に応じて権限設定を行い、見てよい情報と見られてはいけない情報の制限を行うことが必須となる。「ファイルサーバでは制限したが、エンタープライズサーチではファイルの表題が見えてしまった」ということがないように、ID管理ツールと連携するなどして、複数の情報共有ツールで相互につじつまの合うよう管理できるシステムを構築することが不可欠である。


 「情報共有が課題だ」と考えている経営者は多い。しかし、ひと口に情報共有といってもそれがどのようなものか、自社は何のために情報共有に取り組むのか、その体制はどのように築くのか、目的を熟慮したうえで、最適な製品を選びたい。

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