TwitterのReTweetが面白い。ReTweetとは誰かのポストを自分のアカウントで再配信すること。「RT」と略すことも多い。興味深いポストを自分のフォロワーに読んでもらいたいというシンプルな思いがRTのベースにあるが、その可能性は意外に広そうだ。
Twitterはフォローするユーザー数が50人を超えるあたりから、印象が変わってくる。タイムライン上のポストが増大し、すべての発言をチェックするのは難しくなる。ポストを読むのではなく、流れを眺めるという感覚に近くなるだろう。
タイムラインの流れの中で、RTされたポストは目に留まる。何が書かれているのか確認し、URLが含まれていれば、大抵はクリックする。「ある人が興味を持ったポストが再投稿されている」ということが、情報の価値を保証しているように思える。RTはTwitterの膨大なポストの中で、流れにリズムを与えてくれる。
自分にとって価値あるRTは多くの人にとっても価値となる、という仮説を基にRT関連のサービスがいくつも登場している。Mike Sheetal氏が開発、運営している「Retweetist」は興味深いサービスだ。RetweetistはTwitterタイムライン上のRTを追跡し、人気のニュースやトレンドを探ることができるサービス。トップページにアクセスすると現在、多くRTされているニュースがリストされている。各ニュースをクリックすると日ごとのRT数が確認でき、実際のTwitterポストも見ることができる。
The New York Timesなど一般メディアの記事もリストにはあるが、一般のブログやYouTubeの動画なども掲載。ソーシャルブックマークの人気エントリを眺めている感覚に近い。ただ、Retweetistのリストはソーシャルブックマークよりも、そのリアルタイム性が高いのが特徴だ。
また、Retweetistは多くRTされるユーザーのランキングも掲載されている。ランキングの上位にいるユーザーは、それだけTwitterのタイムライン上で影響力が強いといえるだろう。多くRTされているURLを示すメニューもある。このRetweetistを開発し、運営するMike Sheetal氏は東京の広告代理店、UltraSuperNewの設立者でディレクターを務めているという。
RTに注目するサービスはほかに、RTされているポストからトレンドのキーワードを抽出する「retweetradar」、RTされる人に注目した「retweetrank」などがある。
RTはTwitterがシステムとして実装した技術ではなく、ユーザーが独自に利用しているローカルルールだ。特に使い方が定まっているわけではない。国内でも利用が広がりつつあると認識しているが、一方でRTに戸惑う声も聞こえてくる。
記者もタイムラインの一部を眺めていたが、数日前、RTについての議論があった(参考:maraigue氏のまとめ)。RTについては、電子メールにおけるチェーンメール行為ではとの指摘もある。悪意を持った人が情報に注目させるためにRTを頻発するという行為が増える可能性も否定できないだろう。しかし、Twitterについてユーザー側の認識が広がれば、悪意あるRTが大問題になることは少ないようにも思うし、ローカルルールだけに多くの人が納得できるように次第に使い方が変化するかもしれない。ユーザーによってTwitterの使い方がさまざまなように、RTの使い方、受け止め方も多様化するだろう。
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