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» 2009年05月14日 00時00分 公開

SAPプラットナー氏がアプリケーションの進化について講演:ハードウェア進化によって20億レコードが1秒で検索できるように

[大津心,@IT]

 独SAPのプライベートイベント「SAP SAPPHIRE 2009」の2日目となる5月13日(米国時間)には、同社の共同創業者であるハッソー・プラットナー(Hasso Plattner)氏が講演を行った。

CPUの進化によって、アプリケーションも格段の進化を遂げていく

 プラットナー氏はSAPを創業した後、30年以上にわたって同社の社長を努め、現在は監督委員会会長を務めつつ大学で教鞭をとっている。そのプラットナー氏の講演は「ハードウェアによるスピード化」について。

写真 独SAP 共同創業者 ハッソー・プラットナー氏

 同氏はまず現在の企業が置かれている状況を分析。「現在、世の中の変化は非常に早い。例えば2008年の当社の業績は、8月末まで好調に推移していたが、9月に急激に落ち込んだ。これは、“従来のやり方”について、転換期がきているのではないか。BIはデータウェアハウスからデータを引っ張ってきてそれを分析するが、それだけではもう難しくなってきている。従来のやり方を否定するわけではないが、“超加速”が必要になってきていると感じている」と説明した。

 この「超加速」を実現するためには、進化の著しいCPUやハードディスクやメモリといったハードウェアの特性を理解し、ビジネスアプリケーションにも生かすことが重要になっていると指摘。同氏は、「CPUの処理能力は3GHzくらいで一度停滞したが、マルチコア化することで『18カ月間で2倍の性能になる』というムーアの法則を維持した。現在、4コアのCPUが登場しているが、いずれ8コア、16コアと進化していくだろう。このようにマルチコア化した現在では、アプリケーション側は『いかにCPUパワーを有効に使いきるか?』をきちんと考えて設計しなくてはならなくなってきている」と説明した。

 また同氏は、マルチコアの進化によって1台のブレードサーバに128コアを搭載する日も近く、そのブレードサーバを100台組み合わせれば1万2800コアのシステムを構築することも可能になるだろうと予測。1コア当たり3GHzの処理能力として、サーバ1台当たり144GHzの処理能力、システム当たりの処理能力はテラバイト級のシステムを構築することも容易になるだろうとした。

進化したマシンパワーを生かすにはデータ格納方式の変更が必要

 そして、このCPUなどのハードウェアの処理能力を有効活用するために、アプリケーション側で改善が必要なのが、データベースのデータ格納方式だと指摘。「すでに多くの企業が導入しているリレーショナルデータベース方式をやめるのは、現実的に考えて非常に難しい。従って、リレーショナルデータベース方式は変えずに、データの格納方式を従来の方式から『Columnar Storage』方式に変更することが有効だろう」と説明した。

 Columnar Storage方式とは、従来のデータテーブルの列部分のフィールドを縦方向に伸ばすことで、より柔軟で大量のデータを扱えるようにする方式。データの圧縮効果が高く、従来より小さいデータ保存容量を作り出すことができるという。同氏は、「Columnar Storageを採用することで、従来比で10倍以上のデータ圧縮が可能だ。Columnar Storage自体は10年前からある考え方だが、CPU性能の向上によって現実味が出てきた。大量のデータを分析するアナリティクスと非常に相性が良い」とコメントした。

 また、従来の保存方式では大量データの書き換えや追加を行う際に、データの書き換えたり差し替えたりといった「アップデート作業」が必要だ。しかし、Columnar Storage方式では列方向のカラムを追加するだけでアップデート作業が必要ないため、データの書き込み回数を大幅に減らすことができるという。これらの特性を生かすことで、アプリケーションキャッシュやデータベースキャッシュを持たず、Indices生成やDB Lokingのないデータ保存形式が可能になるとした。

 プラットナー氏は、「Columnar Storage方式では書き込み回数が減るため、99.8%がリーディングだけになる。これにより、データの書き込み回数の少ない非常に高速なデータベースが構築可能だ。Columnar Storage方式をうまく活用することで、近い将来マルチコア化が進みCPU性能が向上した際には、20億レコードが1秒で検索できるようになると断言できる。先日発表した新しいBI製品『SAP BusinessObjects Explorer』でも、このような高速化が実現するだろう。ここで非常に重要なのは、このようなハードウェアの進化やColumnar Storage方式の採用は、バックエンド側の変更なのでエンドユーザー側に変化を求めない点だ。ユーザーは、従来の検索や分析をするだけで、数十倍〜数百倍の早さで検索結果を得ることが可能になる。このメリットは非常に大きい」と強調し、講演を締めくくった。

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