SPSSが新戦略で“予測分析”進出、「データの判断が重要に」製品のグループ分け、製品名を変更

» 2009年06月22日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 データ分析やデータマイニングツールを提供するSPSS日本法人がビジネスインテリジェンス市場への取り組みを強化している。4月には既存製品のグループ分けを整理し、製品全体のブランドとして新たに「Predictive Analytics Software」と名付けた。コンサルティング中心のソリューション提供にも力を入れる方針だ。

 製品はPredictive Analytics Softwareの名の下に4グループに整理し、製品名も変更した。「統計ファミリ」は「SPSS Statistics」(現製品名はPASW Statistics)などが含まれる統計解析ツール群。「モデリングファミリ」は「Clementine」(現製品名はPASW Modeler)が中心。「データ収集ファミリ」はDimensionsファミリ製品をまとめた。また、「展開ファミリ」としては「Predictive Enterprise Services」(現製品名はPASW Collaboration and Deployment Services)。

SPSS日本法人 社長のジェイ・パウエル氏

 日本法人 社長のジェイ・パウエル(Jay Powell)氏は「扱っている商品と機能が顧客から見て分かりにくくなっていた。グループ構成を変更することで機能を分かりやすくした」と変更の理由を説明する。また、「ビジネスでは『これからどうなる?』の情報が求められている」とPredictive Analytics Software(予測分析ソフトウェア)の名称を説明した。SPSSはBusinessObjects(BO、現SAP)、Cognos(現IBM)などのBIベンダとこれまで協力。BOやCognosのソリューションにはSPSS製品も含まれているという。

 パウエル氏はBI市場の中でも特にリスク分析や詐欺の防止ソリューションが求められると考えている。不景気で犯罪の増加が予想されるからだ。ビジネスが低迷するときには特に「意思決定におけるデータの重要性が高まる」とも指摘。「データをどう見て、どう判断するかが重要になる」という。

 SPSSはこのようなデータの見方を提供するコンサルティング中心のソリューション提供にも注力する。同社モデリングファミリ製品を使った、データモデリングを顧客企業に提案し、「データの理解とビジネスの理解を統合する」(パウエル氏)ことを目指す。企業のIT投資は依然低迷しているが「企業のデータ活用で小さな問題をまずは解決する。そのROIで次のステップに進む」(同氏)という方法で、企業との長期的な関係を構築する計画だ。

 企業におけるデータ活用が広がっているとの実感がパウエル氏にはある。2008年12月に出荷開始したテキストマイニングツール「SPSS Text Analysis for Surveys 3.0」(参考記事)は国内で1500ユーザーを突破。アンケートの自由記述回答を分析するという機能の絞り込みが理解され、受け入れられた格好だ。パウエル氏は「日本企業のデータ活用は部分的には世界で最先端」と話し、BI市場の今後の広がりに期待を示した。

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