サービスカタログ(さーびすかたろぐ)情報システム用語事典

service catalog / service catalogue

» 2009年12月22日 00時00分 公開

 サービスプロバイダ(情報システム部門/外部サービス事業者)がエンドユーザー(従業員/顧客)に向けて提供中のITサービスをまとめたリストのこと。現状において稼働中で利用可能なITサービスを一覧できるようにした文書やデータベースなどをいう。

 サービスカタログは、ITサービスを受けるエンドユーザーに「いま利用できるITサービスには何があるか」「すでに利用しているITサービスはどれか」などの情報を明確に提示するものである。従って、ITサービスを利用するうえでは不要な技術的説明などは省き、ITに詳しくない利用者にも理解できるような言葉遣いで表現すべきである。

 サービスカタログには、サービス名称や内容、特徴、適用範囲、連絡窓口や責任の所在、要求・注文の手続き、制約事項(サービスレベル範囲、提供時間、利用料金など)などが記述される。顧客に対して“サービス”を定義するものであり、ITILではサービスレベル管理キャパシティ管理可用性管理などのインプットと位置付けられる。サービスカタログをデータベースなどで動的な運用する場合には、事後のプロセスと連動して「契約済みで即時に利用可能」「サービスレベルは稼働率99.99%」というように、各サービスのステイタス情報が参照できることが望ましい。

 このようなサービスカタログを整備することによって、サービスプロバイダ側は自身が提供するITサービスがどのユーザー(個人・部門・会社)にひも付いているのかを一覧でき、優先度や影響度の判断が必要になった場合に参照できる。このような管理ツールをITIL V2では「サービスカタログ」と呼んでいたが、V3ではこれを「ビジネス・サービスカタログ」とし、加えて「テクニカル・サービスカタログ」の概念を導入している。

 これはサービスカタログで定義されたITサービスを構成管理構成アイテムとと関係付けたりすることによって、各サービスがどのITリソースによって支えられているかを一覧できるようにするものである。こちらはエンドユーザーに見せるものではなく、サービスプロバイダが障害対応やコスト把握などを迅速に行えるようにするツールである。

 さらにITIL V3ではサービスカタログを包括する上位管理概念として、サービスポートフォリオが登場している。サービスカタログが顧客に対して提供可能なサービスを記述したものとして位置付けられるのに対して、サービスポートフォリオは提供を計画・準備中や展開を終了したサービスを含めて一覧化したものである。

 サービスカタログは、提供するITサービスが標準メニュー化されることになるクラウドコンピューティングにおいては極めて重要な管理概念・ツールとなると考えられている。 

参考文献

▼『ITIL V3ファンデーション――ITIL資格認定試験対策書籍』 日立システムアンドサービス、笹森俊裕、満川一彦=著/翔泳社/2009年7月


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