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collaborative forecast and replenishment / 製販協働補充予測

» 2010年01月18日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 ウォルマートストアーズとワーナーランバート(現ファイザー)が製販協働で行った需要予測・在庫補充に関するコンセプト、および実験プロジェクトのこと。後にCPFRへと発展した。

 商品を製造・納入する事業者と小売事業者が共同で需要予測を行って予測精度を高め、それに基づいて最適な生産計画と商品補充サイクルを確立して、欠品防止と在庫削減を進める方法である。

 米国の流通は全体としては小売事業者よりも製造事業者が強く、製造側が小売店舗へ直接納入する物流形態が主流である。大型小売店やチェーン店本部は自前の物流センターを持ち、そこへ納入させる。

 このとき、メーカーは独自の需要予測に生産計画に基づいて生産・出荷を行うが、販売状況のデータを持たないメーカーの予測には限界があり、小売側ではたびたび欠品が発生し、製造側では余分な在庫が必要となるため、大きな非効率が存在する。

 この状況に不満を持っていたウォルマートは1995年、新たな在庫補充方法の実験に着手した。ワーナーランバート、ソフトウェア会社のSAPとマニュジスティックス(現JDAソフトウェア・グループ)、コンサルティングファームのベンチマーキングパートナーズが共同してコンセプト作りを始め、1996年からワーナーランバートの洗口液「リステリン」の6アイテムを対象に実証実験をスタートした。

 ウォルマートは商品の販売データ、取引記録、関連情報(販売施策や価格など)から週別・店舗別・アイテム別に6カ月の需要予測を週単位で作成、ワーナーランバートも独自の需要予測を作成して、それを付き合わせて一定の基準値に収まっていれば、それをワーナーランバートの生産システムに送り、生産計画値として利用する。値にズレがあれば、両社が協力して原因を究明し、対策を講じる。両社はリステリンの生産リードタイムに合わせて、6週間前に合意予測値を作成して発注を行った。このほか、安全在庫の適正水準、適切な発注単位、予測のリードタイム、見直しのタイミングなどを取り決めている。

 結果としてリードタイムは半減、在庫量は2週間分が減り、インストックポジション(在庫充足率)は87%から98%へと大幅に改善され、売り上げは850万ドル伸張した。この成果は米国リテール業界で大きな注目を集め、1996年末には米国の任意団体VICSが中心となって、範囲を拡張した「CPFR」として業界標準化・普及の活動が進められている。

参考文献

▼『図解 次世代SCM――CPFRがわかる本』 ジョセフ・アンドラスキー、舟本秀男=著/日本能率協会マネジメントセンター/2002年2月

▼『コラボレーティブコマース――先進企業にみる流通連携戦略』 舟本秀男=著/同友館/2005年6月


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