可視化とプロセス整備が仮想化を生かす必須条件──富士通特集:仮想環境はここまで管理できる(4)(2/2 ページ)

» 2010年02月15日 12時00分 公開
[内野宏信,@IT情報マネジメント編集部]
前のページへ 1|2       

クラウド基盤を実現する機能を、2010年度半ばまでに発表予定

 さて、以上が現時点での仮想化対応機能となるが、同社では現在、「サーバ統合によるコスト削減というフェイズから、システム構築の標準化・自動化が進むフェイズを経て、いずれは必要なときに、必要なだけリソースを割り当てるITリソースプーリングが進む」と見越し、着々と新機能の開発を進めているという。

 機能強化の内容は非公表だが、富士通 仮想化ソリューションセンター センター長の酒井利弘氏は、「自動化、標準化の機能を拡充させつつ、クラウドコンピューティングの実現基盤となる各種機能を、ハードウェア、ストレージ、ミドルウェア、それぞれの分野で開発している」とコメントする。

ALT 富士通 プラットフォーム技術本部 仮想化ソリューションセンター センター長の酒井利弘氏

 ちなみに、同社は2009年10月、BMC BladeLogic Operations ManagerをSRCVEと連携させ、「開発者からの要求に応じて仮想サーバを自動的に提供する社内クラウドシステムを沼津開発センターに構築し、サーバ構築時間を6時間から10分に短縮した」と発表している。併せて、「クラウド事業を2012年度までに約3000億円、 2015年度には市場全体の20?30%の規模に拡大させる」と強い意欲をみせている。こうした姿勢と他社の新製品発表時期を考え合わせれば、遅くとも2010年春ごろには機能強化の内容が発表されるとみてよさそうだ。

 ただ、酒井氏は、クラウド化のトレンドにある中で、「製品の新機能とともに、システム構築・運用の在り方もあらためて見直しておくべきだ」と強調する。

 「例えば自動化にしても、自動化する作業自体が効率的なプロセスになっていなければ、効率化したとはいえない。リソース活用の柔軟性が増し、システムも迅速かつ手軽に用意できるようになる分、効率的かつ適切なシステム構築・運用のルール、プロセスを定めておかなければ、真の効率化は実現できない」(酒井氏)

 その点、インシデント管理ツール、変更・リリース管理ツールなど、ITILの運用管理プロセスを支援する製品群をラインナップしている点はSystemwalkerシリーズの強みだという。また、今後は物理/仮想の壁を超えたライセンス管理、社内課金システムなどが必須の機能になるといわれているが、「柔軟なリソース活用が可能になる分、その運用を確実に管理する機能はますます重要になる」と補足する。

 酒井氏は「仮想化技術はあと数年で確実にコモディティ化する。システムで何を、どう実現するのか、システムの運用目的と運用ルール、プロセスを見直し、今後出てくる運用管理機能を、そこにどう組み込んでいくのか、クラウド化に向けた自社なりのロードマップを策定しておくことが大切だ。仮想環境をいかに使いこなせるかが、企業間競争の勝敗を分かつ大きなポイントになるはずだ」とまとめた。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ