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» 2010年04月15日 00時00分 公開

G-Force Chicago 2010 Report::ソーシャルメディアと連携する次世代コンタクトセンター

[伏見学,@IT]

 コンタクトセンター向けソフトウェア開発大手の米Genesysは4月14日(現地時間)、米国・イリノイ州シカゴでユーザーおよびパートナー企業に向けた年次カンファレンス「G-Force Chicago 2010」を開催した。今回で11年目となる同カンファレンスには昨年を上回る1000人以上の参加者が朝早くから会場に詰め掛け、シカゴの街さながらの活気を見せた。

 シカゴは「Windy City(風の街)」と呼ばれるほど突風が吹き荒れることで知られている。前日夜はミシガン湖からの冷たい風に、行き交う人はコートの襟を立てたが、カンファレンス初日は青空が広がり、春らしい暖かい朝を迎えた。

 オープニングセッションの冒頭では同社CEOのポール・セグレ氏が登壇。セグレ氏は経済環境の厳しい今こそ顧客サービスを中心に据えたイノベーションが重要だと訴え、「従来のコンタクトセンターサービスに加えて、Webやモバイル、ソーシャルメディアといった新しい機能を取り混ぜることで真の顧客サービスが実現できる」と強調した。

「コンタクトセンターはクロスチャネルでサービスを提供すべき」と語るポール・セグレCEO 「コンタクトセンターはクロスチャネルでサービスを提供すべき」と語るポール・セグレCEO

コンタクトセンターに対する期待の高まり

 同社が顧客サービスを最重視する背景には、消費者の意識の変化がある。グローバルでの定例調査を基に、ジェネシス・ジャパンが2009年に日本市場を対象に実施したコンタクトセンターに関する調査によると、企業に対するロイヤリティに影響を与えるのは「顧客サービス」とする回答が最も多く、前回(2006年)の調査と比べてもその重要性は高まっている。コンタクトセンターでの体験が顧客のロイヤリティ構築の鍵になるという。ところが現在、消費者は企業の製品やサービスに対する不満や疑問があった場合、インターネットによる検索などで問題を解決してしまうことが多い。裏を返せば、よほどのことがない限りコンタクトセンターに電話しないというわけだ。「消費者の一次的、二次的なサポートはセルフサービスに移り変わっているため、コンタクトセンターに対する期待値は大きく、より高いサービスが求められてきている」とセグレ氏は説明する。

 同カンファレンスで繰り返し紹介されたコンタクトセンター向けミドルウェア「Genesys8(G8)」は、顧客満足度の向上に重点を置いて開発された製品で、全世界のユーザーの意見や成功事例が基になっているという。同ミドルウェアは音声通話、VoIP、Eメール、Webチャットといったコミュニケーション機能、CRM(顧客情報管理)をはじめとするバックエンドシステムとの連携、オペレーターの業務をレポーティングする管理機能などを実装する。G8のリリースは2年前だが、その後、機能拡張を続けており、今夏に完全版パッケージとして提供される予定である。

 G8の土台には同社が掲げるビジョン「Dynamic Customer Engagement」がある。これは、チャネルをまたいで顧客との会話を統合する「インタラクション」、適切な人材配置を行う「リソース」、企業全体の効率化を図る「インフラストラクチャ」、革新的に業務プロセスを変えていく「プロセス」、業務パフォーマンスを可視化する「インサイト」という5つの要素で構成されており、G8では特に顧客とのインタラクションをテーマとしている。その中で今回、新たに発表されたのがソーシャルメディアとの連携である。

Dynamic Customer Engagement Dynamic Customer Engagement

ソーシャルメディアの“声”を生かす

 上述したように、ある問題に直面した場合にその解決策をインターネットに求めるユーザーが増えてきており、中でもSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)やブログなどのソーシャルメディアの活用は多い。セグレ氏に続いて登壇した、Genesysの親会社である仏Alcatel-Lucentで、Genesysを含むエンタープライズ製品の担当CMO(最高マーケティング責任者)を務めるニコラス・カチャフスキー氏は「もはやユーザーにとって必要なノウハウやスキルが必ずしもコンタクトセンターにそろっているわけではない」と語る。今後はオペレーターがソーシャルメディア上に流れる情報に常時アクセスできることに加えて、誤った情報に対してはすぐに修正をかけられる仕組みが重要だという。

 「ソーシャルメディアの書き込みは、場合によって企業ブランドにも影響を与える。企業がすべての情報をコントロールすることは難しいため、モニタリングするツールが不可欠だ」(カチャフスキー氏)

 そこで同社が提供するのが、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアとG8を連携させるツールである。具体的には、ソーシャルメディアのAPIをG8に取り込み、テキストやID、ハンドルネーム、メールアドレスなどの情報を吸い上げて顧客データベースに格納させる。例えば、ある製品に関する質問がTwitterに書き込まれた場合、コンタクトセンターのオペレーターがG8を通して瞬時に発言者に対してコンタクトを取れるようになる。

別途インタビューに応じたニコラス・カチャフスキー氏。TwitterやFacebook、YouTubeなどで見られる製品のリコメンドは、消費者の購買の原動力になっているという 別途インタビューに応じたニコラス・カチャフスキー氏。TwitterやFacebook、YouTubeなどで見られる製品のリコメンドは、消費者の購買の原動力になっているという

 同カンファレンスでは、グローバル企業によるコンタクトセンター改革の事例が紹介されるほか、今後のコンタクトセンターサービスのあるべき姿を示すセッションなどが予定されている。追ってレポートする。

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