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» 2010年06月03日 12時00分 公開

いかに根本的な原因を追究するかシステム管理入門(3)(2/2 ページ)

[谷 誠之(テクノファイブ),@IT]
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荒唐無稽(むけい)な案も解決策になり得る

 問題の根本原因が明らかになったら、次は恒久的な解決策の立案と実施です。ここで重要なのは、解決策を複数考えるようにすることです。筆者の経験上、ある問題の解決策が1種類しか存在しないというのはほとんどありません。例えば、ルータが壊れている場合であれば、「ルータを修理する」「ルータを買い換える」「(複数のネットワーク経路があるなら)その経路を使わないようにする」といった解決策が考えられるでしょう。

 解決策を考える段階では、その実現可能性について触れないようにします。荒唐無稽(むけい)な解決策もあえて一案として挙げておきます。そのうえで、それぞれの案に対する実現可能性を考えるのです。実現可能性は、「解決策の取り組みやすさ」「解決策にかかる費用」「解決策にかかる時間」「解決策を実施することによるほかの部分への影響」などを考慮して検討します。

 例えば、以前こんなことがありました。オフィスビルの2Fと3Fに関連部署があり、フロア別にLANが敷かれていました。ところが、月末になると2Fのネットワークだけがとても遅くなるので、調べてみると特定の月末処理を集中して行うためネットワークに想定以上の負荷が掛かっていました。単純な解決策としては2FのLANの帯域を増やすことですが、お金も時間もかかります。最終的には、荒唐無稽(むけい)とも思える対策の中から「メンバーの半数は3Fに引っ越す」という案が採用されました。加えて、月末処理のためのサーバを、別に構築した広帯域LAN環境に移したのです。

 このように、解決策を立案し、その実現可能性を考慮したうえで、実際に採用する解決策を選定します。この選定はシステム管理者だけでなく、利用部門の代表者も交えて行うようにしましょう。利用者側にも当事者意識を持たせることが大事です。

 解決策の多くは、IT機器の変更を伴うでしょう。機器を交換したり、ネットワーク構成を変えたり、ソフトウェアをアップデートしたりといった作業はすべて「変更」に当たります。業界では「障害の7割は変更に起因する」という言葉があるように、変更が新たな障害の原因になることは確かです。そのため、変更は慎重に行わなければなりません。IT機器の変更は、問題管理とは別に「変更管理」という考え方で実施する必要があります。これについては、次回紹介することにします。

著者紹介

▼著者名 谷 誠之(たに ともゆき)

テクノファイブ株式会社 阪神支社 ラーニング・コンシュエルジュ。IT技術教育(運用系/開発系)、情報処理試験対策(セキュリティ、サービスマネージャ、ネットワークなど)、対人能力育成教育(コミュニケーション、プレゼンテーション、チームワーク、ロジカルシンキングなど)を専門に約20年にわたり、活動中。「講習会はエンターテイメントだ」を合言葉に、すぐ役に立つ、満足度の高い、そして講義中寝ていられない(?)講習会を提供するために日夜奮闘している。

ディジタルイクイップメント株式会社(現:日本HP)、グローバルナレッジネットワーク、ウチダスペクトラム、デフォッグなどを経由して現職。

テクニカルエンジニア(システム管理)、MCSE、ITIL Manager、COBIT Foundation、話しことば協会認定講師、交流分析士1級などの資格や認定を持つ。近著に『高度専門 ITサービスマネジメント』(アイテック、2009年6月)

がある。


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