動画やストリーミングのキャッシュも可能なアプライアンスクラウドサービスとの連携でリアルタイムポリシー更新にも対応

» 2010年06月09日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 ブルーコートシステムズは6月9日、キャリア向けのキャッシュ専用アプライアンス「CacheFlow アプライアンス 5000シリーズ」(CF5000)を出荷開始した。クラウドベースの自動ポリシー更新サービス「CachePulse」と連携することで、全世界で利用されているWebサービスのトレンドをほぼリアルタイムでキャッシュポリシーに反映することが可能だという。

ベネット氏写真 ブルーコートシステムズ マネージングディレクター マット・ベネット氏

 CF5000は、キャッシュに特化したキャリアグレードのアプライアンス製品。筺体はProxySG 9000と同一ながら、独自のキャッシュソフトウェアを開発・搭載。従来、キャッシュすることが難しいとされていた動画やストリーミングコンテンツなどもキャッシュすることが可能だという。また、動的に生成されるコンテンツや「non-chacheable」と指定されたコンテンツもキャッシュできるとした。さらにキャッシュ内容が配信元サーバ上にあるコンテンツと同一であることを確認して保証する機能も持ち合わせる。

 また、最大の特徴は、クラウドベースの自動ポリシー更新サービス「CachePulse」と連携し、ほぼリアルタイムで最新のポリシーを適用できる点だ。CachePulseは世界に複数箇所拠点を持ち、世界中のトラフィックを監視。ほぼリアルタイムにWebサイトやWebサービスのアクセス状況を分析し、キャッシュポリシーを作成してCF5000などへ20分間隔で配信する。

CF5000写真 CF5000の筺体イメージ

 ブルーコートシステムズ マネージングディレクター マット・ベネット氏は、「日本のダウンロード総量は2009年11月時点で約1.36Tbpsとなっており、1年間に1.4倍に急増している。また、多国間トラフィックも急増しており、多国間トラフィックのキャパシティを9.4Tbps増強した。また、インターネットトラフィックの70〜90%が、HTTPベースの映像ストリーミングやダウンロードなどのWebトラフィックとなっている。また、経済状況も関係し、キャリアは帯域コストの最適化が急務となっている」と日本のキャリアの現状を説明。

 現在、この問題を解決するためのキャリアの選択肢としては「帯域を増強する」「キャッシュの導入」の2択がある。このうち、キャリアはROIを見極めて選択するが、海外コンテンツの増加や、動画やストリーミングなどもキャッシュできるようになってきたことから、キャッシュのコストメリットが帯域増強を上回りつつあるという。「日本は従来から、帯域を増やすことでネットワークトラフィックの急増に対応してきた。しかし、トラフィックやコンテンツ種類の状況が変わりつつあることから、キャッシュへ移行しつつある」(ベネット氏)と説明した。

 CF5000は、キャッシュに特化することでクライアント側で500Mbpsのスループットを実現。上流アクセスポイントで40〜50%の帯域削減を実現するという。また、オプションを追加することで「IWF(Internet Watch Foundation)」をベースにしたコンテンツフィルタリング機能や、クラウドベースのフィルタリングサービス「Blue Coat WebPulse」も利用できる。「Blue Coat WebPulse」は、6200万人以上のユーザーコミュニティによる監視サービス。コンプライアンスの順守や、悪意あるトラフィックによる脅威の防御が可能となる。

 ベネット氏は、「最近では競合製品も増えているが、競合製品と比較して、CF5000はストリーミングや動画のキャッシュの部分で勝っている。日本は、キャッシュよりも帯域を強化して対応してきた歴史があるため、まだまだキャッシュ製品が普及する余地はあるが、コスト面から考えて、帯域を40〜50%削減できる製品でなければ売れないだろう」と語り、現在の日本市場を解説した。

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