Twitter(ついったー)情報マネジメント用語事典

» 2010年08月03日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 インターネットで提供されている情報共有・伝達サービスの1つ。「ツイート」と呼ばれる最大140文字のテキストメッセージをリアルタイムにPUSH配信することで、共時性の高いコミュニケーションを実現する。「フォロー」「リツイート」などの機能を持ち、強い伝播力を備えたソーシャルメディアとしても注目される。

 Twitterは、米国Twitter, Inc.が運営するオンラインのメッセージ投稿/閲覧サービスで、同社サイトで無料のアカウント登録を行えばすぐに利用を始められる。Twitterでやりとりされるテキストメッセージは1回当たり140文字以内という字数制限がある。この短文投稿は「ツイート(tweet=小鳥のさえずり)」と名付けられており、日本では“つぶやき”と呼ぶことが多い。ツイートはプロテクト(非公開)にもできるが、初期設定では公開となっており、多くのツイートは誰でも見ることができる。

 ユーザーがアカウントを取得してTwitterにログインすると、サイト上にホーム画面と呼ばれる自分専用のページが得られる。ここには自身のツイート、およびフォロー(後述)した相手のツイートが時系列に表示される。このツイートの並びを「タイムライン(TL)」という。

 タイムラインの最上位には最新のツイートが表示され、過去のツイートは順次下に押し流されていく。ツイートが活発に行われていればタイムラインは時々刻々と変化するが、こうした“ライブ感”がTwitterの特徴の1つとされる。

 自分のタイムラインに読みたいツイートを加えることを「フォロー(follow)」という。公開のツイートならば、Twitterユーザーは誰でも自由にフォローしたり、それをやめたり(アンフォローないしリムーブという)できる。仲間同士で相互にフォローし合えばチャットのような感覚でメッセージ交換を行うこともできるが、フォロー自体は閲覧者が一方的に“読む相手”を選ぶ行為である。

 なお、フォローされたことは投稿者に通知され、自分に何人のフォロワー(フォローしている人)がいるかも分かる。フォロワー数は、しばしば人気のバロメータして扱われる。

 ツイートは(原則として)不特定多数に対する情報の公開である。その意味ではブログに似ており、Twitterは「ミニブログ」「マイクロブログ」というジャンルに分類されることが多い。ブログとの違いとしては、異なる投稿者の記事を読みたいというとき、ブログでは各ブログサイトを見て回る必要があるが、Twitterではフォローしておくことで普段はタイムラインを眺めているだけでよい。また、基本思想・設計の面ではブログが一般に“記録と整理”を指向するのに対して、Twitterは「いま、何をしているか?」を知らせるものである。

 「いま、何をしているか?」を集団内で伝達・共有する方法としては、同報メールやメーリングリスト、SNS掲示板なども考えられるが、これらはメンバー全員に情報を届ける場合には向いているが、受信者が任意・個別に情報源を選ぶようになっていないものがほとんどである。Twitterの情報受信は、閲覧者に選択の主導権がある。気にいらないツイートを繰り返す発言者はその人だけをアンフォローできるので、趣味や属性、話題ごとに人が集うSNSや掲示板に比べて、炎上(揉めごと)が少ないといわれる。

 “強い伝播力”もTwitterの特徴とされる。もともとTwitterは小規模集団で情報共有を行うために作られたものだったが、今日では利用者が増加し、中にはフォロワーが100万人を超えるユーザーもいる。この場合、Twitterはマスメディアに匹敵する情報伝達媒体だといえるが、著者・投稿者が有名人だと読者も多いというだけではブログと大きな違いはない。Twitterに特有の情報伝播を支えているのがリプライとリツイートである。

 リプライは、受け取ったツイートに返信を行う機能。メッセージの先頭に「@アカウント名」を付けて送信すると、そのメッセージが相手のタイムラインに表示される。同時にその投稿者をフォローしている人も同じメッセージを見ることができる。つまり、投稿者とフォロワーがメッセージ交換でき、その会話を第三者のフォロワーも読むことができるというわけだ。

 リツイートは、自分のフォロワーに対して任意のツイートを再配信する機能。「自分がフォローしている相手」と「自分をフォローしてくれている相手」を仲介する行為だといえる。リツイートはもともと、ユーザー側で自然発生的に生まれた表記ルールで、面白いと思ったツイートを「RT @アカウント名: メッセージ」の書式にして、自分のアカウントで再投稿するものだった。その後、システム機能として実装された。そのため、システムがサポートするリツイートを「公式リツイート」、通常のツイートを使った再投稿を「リツイート記法」「RT記法」などといって区別する。後者は引用(引用者がコメントを追記したツイート)となるので、「QT(quote tweet)」とすることも提案されている。

 リプライやリツイートは人的レコメンデーション(推奨)であって、ほかのツールではスパム(迷惑投稿)となりかねないものだが、ツイート同様気軽に行ってよいものとされている。フォロワーはタイムラインに現れたリプライやツイートに対応してもよいし、読み流してもよい。もちろん、気に入らないリツイートを繰り返す投稿者はアンフォローして構わない。

 こうしたリプライやリツイートをユーザーが相互に繰り返すことで、人々が興味を持つ確率の高い情報は瞬時にTwitterネットワーク全体に拡散していく。これは嘘やデマが広がりやすいという負の面もあるものの、TwitterとTwitterコミュニティの文化が持つ大きな特徴である。

 このほかにTwitterの主だった機能/記法としては、特定のフォロワーに第三者には分からない形でメッセージを送ることができる「ダイレクトメッセージ(DM)」、ツイートを検索する「サーチ」、何のトピックに関するツイートであるかが分かるように「#キーワード: メッセージ」の書式で投稿する「ハッシュタグ」がある。

 Twitterの各機能はほぼすべてがAPIとして公開されており、関連するソフトウェアや外部サービスがさまざまなサードパーティによって開発・公開されている。基本操作である投稿/閲覧についても、公式サイトにWebブラウザでアクセスする方法よりも、専用ソフトウェア(PCクライアント、携帯電話クライアント、ASP型サービスなど)から利用するユーザーが多い。

 Twitterは最初、ポッドキャスティング事業を行うために設立されたベンチャー企業である米国Odeo, Inc.で開発が始まった。2006年初頭、経営不振に陥っていた同社は、改革の一環としてTwitter(開発コードネーム、及び初期のサービス名称は「twttr」だった)のプロジェクトをスタートした。

 元型となるアイデアは、同社のエンジニアだったジャック・ドーシー(Jack Dorsey)が温めていた「携帯電話のショートメッセージ(SMS)を使って、グループメンバー間でステータス情報を共有する」というものである。最初のバージョンは2006年3月に完成し、テスト期間を経て2006年7月に公開された。

 この間にもOdeoの経営状態は悪化を続け、経営陣と投資家の対立が激しくなったことから同社経営陣/従業員は同年10月にObvious Corp,を設立。この会社がOdeoの投資家からTwitterを含むすべての資産を買い取り、事業を引き継いでいる。

 その後、Twitterは2007年3月に米国で開催された音楽・映像・インタラクティブメディアのイベント「South by Southwest(SXSW)」に出展。ここで注目を集め、飛躍が始まった。2007年4月にObviousはTwitter事業を独立させ、Twitter Inc.を設立している。

 以降、米国の大統領選挙(予備選挙含む)でバラク・オバマ(Barack Obama)陣営が積極的に活用したこと、情報統制の厳しい国で市民報道のツールとして威力を発揮したことなどが話題を呼び、さらに利用者が増加した。

 ツイートは他愛のないつぶやきから自己表現やセルフブランディング、個人報道、企業・各種組織によるマーケティングコミュニケーションや情報発信まで、さまざまな用途で用いられる。閲覧者はこれらを適切にフォロー/閲覧することで、興味対象の現状をリアルタイムに知ることができる。もちろん、仲間同士で連絡を取り合うためのツールとしても多く用いられている。これらが「ツイートを書き込むだけ」「タイムラインを眺めるだけ」という簡単操作で、携帯電話を通じて場所を選ばずに行えることが、Twitterの大きな魅力となっている。

※ Twitterの機能は随時変更されるため、細部で説明と実際が異なる場合があります。また、本稿は必ずしもTwitterのすべての機能を説明するものではありません。

参考文献

▼『ビジネス・ツイッター ――世界の企業を変えた140文字の会話メディア』 シェル・イスラエル=著/滑川海彦、前田博明=訳/日経BP社/2010年3月(『Twitterville』の邦訳)


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