個人格差の大きいゆとり世代やアラフォー世代を教育するためには、集合教育に替わる教育方法が必要となる。
その候補として、eラーニングを挙げることができる。
『eラーニング白書2005/2006』によると、eラーニングを「情報技術によるコミュニケーション・ネットワーク等を活用した主体的な学習である」と定義しており、コンテンツは学習目的に従って編集され、学習者とコンテンツ提供者間にインタラクティブ性が確保されることが求められている。eラーニングというと、CD-ROMのオフラインによる自己学習かと思いがちだが、今はネットワークを前提としたものとなっている。
eラーニングの長所と短所を図表2にまとめてみた。
長所 | 短所 |
---|---|
個人ごとに異なるスピードで学習できる | 学習に対する強制力が弱い |
時間・場所の制約が少ない | 質問を明確に文書化する必要がある |
映像や音声などを組み合わせた教材が作りやすい | 講師からのアドバイスが得にくい |
教材の更新がしやすい | 受講者間の繋がりが薄い |
比較的安価である | |
(図表2)eラーニングの長所と短所 |
eラーニングの長所は、いつでもどこでも自分のペースで学習できる点にある。半面、学習に対する強制力が弱く、自分で自分をコントロールしなければならないことが短所である。また、講師とのインタラクティブ性が保障されているといっても、対面とは異なり、あらかじめ自分自身で質問内容を明確にし、文書化する必要があることも大きな欠点である。対面の場合には、何が理解できていないかも分からずに質問をし、講師との会話の中から自分自身が質問したかった内容が明らかにあるケースが多いからだ。
このような特徴を持ったeラーニングを採用すれば、個人格差の大きい受講生への対応が可能になるのだろうか。
eラーニングは個人のペースで学習できるので、理解スピードに関する個人格差を解消することは可能になる。スピードの遅い人は何回でも学習し直すことによって、理解することができる。
しかし、知識の個人格差を解消することはできない。
eラーニングで提供される学習内容は均一であるため、前提知識が異なる受講生に対する対応はできていない。集合教育で機転の利く講師であれば、受講生の反応を見ながら、説明内容をよりやさしくするなどの工夫をすることで、受講者のレベルに合わせることができる。しかし、eラーニングでは、そのような工夫を期待することはできない。
そのため、eラーニングでは教材開発前の分析フェイズが重視されている。では、eラーニングに対して、学習内容を学習時点で学習者の知識レベルに合わせる工夫はできないのだろうか。
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