境界値分析(きょうかいちぶんせき)情報システム用語事典

boundary-value analysis / 限界値分析

» 2011年11月07日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 同値分割で得られた同値クラスの端となる値(およびその前後の値)を明らかにして、それをテストデータとするテスト技法のこと。

 境界値分析は、同値クラスの境界値付近には、バグが集中するという経験則に基づいている。例えば、入力条件として「0以上99未満」のような範囲指定があるとき、設計書で「以下」と「未満」を取り違えたり、コーディングで「≧」と「>」の記述ミスを犯したりという誤りが起こりやすい。出力についても同値クラスの上限値や下限値は、経路分岐やロジックが正しいかどうかが端的に表れるポイントとなる。

 こうした点から入力同値クラスの境界値とその前後の値、出力同値クラスの境界値とその前後の値に対応する入力の値をテストデータとする方法が境界値分析法である。同値クラスの境界値を明らかにする分析を「境界値分析」、その結果をテストケースとして行うテストを「境界値テスト」と呼び名を使い分ける例も見られる。

 境界値分析は同値分割とともに行われる手法である。同値分析は同値クラスから任意の代表値を1つ選ぶだけでよいとするが、境界値分析との併用では同値クラスの上限と下限から2つの値を選び出す場合があり、テストデータは増える。しかし、同値分割だけでテストするよりも効果があると考えられており、大抵は両手法がセットで実施される。

参考文献

▼『実践的プログラムテスト入門――ソフトウェアのブラックボックステスト』 ボーリス・バイザー=著/小野間彰、山浦恒央、石原成夫=訳/日経BP社/1997年8月(『Black-Box Testing: Techniques for Functional Testing of Software and Systems』の邦訳)

▼『ソフトウェア・テストの技法〈第2版〉』 グレンフォード・J・マイヤーズ、トム・バジェット、テッド・M・トーマス、コーリー・サンドラー=著/長尾真=監訳/松尾正信=訳/近代科学社/2006年7月(『The Art of Software Testing: 2nd ed』の邦訳)

▼『はじめて学ぶソフトウェアのテスト技法』 リー・コープランド=著/宗雅彦=訳/日経BP社/2005年11月(『A Practitioner's Guide to Software Test Design』の邦訳)

▼『経験ゼロでもできるプログラミング現場の単体テスト』 片桐一宗=著/翔泳社/2009年5月


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