先進企業に学ぶ、スマートデバイス導入効果と管理術レポート スマートデバイス導入セミナー(2/2 ページ)

» 2011年12月08日 12時00分 公開
[唐沢正和(取材/文), @IT情報マネジメント編集部(構成) ,@IT]
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利便性を享受するためには、運用面への配慮が不可欠

 3番目のセッションでは、ソリトンシステムズ マーケティング本部 プロダクトマーケティング部の竹谷修平氏が、「もう停滞させない! スマートデバイスのビジネス活用への課題と提案」と題し、安全性と利便性を両立する同社のソリューションを紹介した。

ソリトンシステムズ マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 竹谷修平氏 ソリトンシステムズ マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 竹谷修平氏

 まず竹谷氏は、「スマートデバイスの普及によって、IT環境は『端末』と『(使う)場所』の多様化が進んでいる。そうした状況の中でスマートデバイスを安全に使うためには“用途に応じたセキュリティ対策”が必要だ」と解説した。

 具体的には、スマートデバイス運用におけるセキュリティ対策を「識別」「管理・制御」の大きく2つに分け、「識別」のための対策から着実に実施することが大切だという。

 このうち「識別」について、同社では「端末認証にはデジタル証明書による認証を、ユーザー認証にはワンタイムパスワードを使った二要素認証を推奨している」という。しかし、デジタル証明書とワンタイムパスワードによる認証環境を構築するには、RADIUSサーバ、ワンタイムパスワード処理サーバ、デジタル証明書発行・管理サーバという3台のサーバが必要となり、多大な工数とコストが掛かってしまう。

 そこで同社では、オールインワン認証アプライアンス「NetAttest EPS」を提供。「デジタル証明書認証とワンタイムパスワードを1台のサーバで実現することにより、スマートデバイスに求められる高度なネットワーク認証環境を、短期間かつ低コストで構築することが可能になる」という。

 一方、第2段階の「管理・制御」では、スマートデバイスの端末設定作業や、初期導入後の運用業務が管理者にとって大きな負担となっている。この課題を受けて、「NetAttest EPS」のスマートデバイス専用オプション、「NetAttest EPS-ap」を提供。「ユーザーからの利用申請を受けて、端末認証に用いるデジタル証明書のインポートやセキュリティーポリシー設定の適用など、スマートフォンをビジネス環境で用いるための一連の設定を自動で行う機能により、管理者の運用負荷を大幅に軽減できる」という。

 スマートデバイスというと利便性ばかりが注目されがちなものだが、この講演によって、導入後の運用という現実面にも配慮して初めて、スマートデバイスのメリットを安全に享受できることを、あらためて実感した向きも多かったのではないだろうか。

モバイル、クラウドを活用して新たなワークスタイルを構築

 最後の特別講演には、ソフトバンクBB 取締役常務執行役員の溝口泰雄氏が登壇。グループ約2万人へのiPhone/iPadの支給、また端末からいつでもシンクライアントが利用できる環境を構築し、生産性を大幅に向上させた同社の事例を紹介した。

 

ソフトバンクBB 取締役常務執行役員 溝口泰雄氏 ソフトバンクBB 取締役常務執行役員 溝口泰雄氏

 ソフトバンクBBでは、以前からモバイルワークへの取り組みを積極的に進めており、現在は全社員にiPhoneとiPadを支給。社内・社外を問わず、どこにいても社内メールや決済ワークフロー、情報共有を行える環境を整えている。

 特に情報共有については、ソフトバンクテレコムの法人向けサービス『ホワイトクラウド ビジュアモール スマートカタログ』を利用し、クラウド環境にカタログデータベースを置いて、その情報を全営業マンがiPhone/iPadで共有できるようにした。これによって、若手からベテランまで、営業マンの情報収集スキルの平準化を実現したほか、営業先でのiPhone/iPadで動画を多用したプレゼンが可能となり、営業力の向上にもつながったという。

 また同社では今年5月、天王洲から汐留へのオフィス移転に合わせて「ホワイトワークスタイル」を導入。ソフトバンクテレコムが提供するクラウドコンピューティングサービス「ホワイトクラウド」とさまざまなデバイスを活用することで、時間や場所にとらわれず仕事ができる革新的なワークスタイルを実現した。

 具体的には、「社内ファイルをクラウド上の大規模ストレージに格納」「SaaS型の電子FAXサービスによりペーパーレス化を促進」「会社のPC環境をDaaSサーバに置き、iPadやiPhoneからリモートアクセスできるシンクライアント環境の構築」という3つの取り組みを同時に実施し、オフィスの運用コスト削減とオフィススペース使用の効率化を実現した。現在は従業員の要望を取り入れ、Web会議システムや企業内SNSを導入するなど、継続的に生産性向上に取り組み続けているという。

 さらに同社は、「ホワイトワークスタイル」の実践に伴い、在宅勤務にもチャレンジしているが、「これについては、実際に行ってみるとさまざまな問題が浮き彫りになった」と溝口氏。具体的には、「DaaSによるシンクライアント環境の構築によりITインフラは整備したが、出勤時間の管理や成績評価などの労務・人事面、家族に対する情報セキュリティ対策などが問題視されるようになった。在宅勤務を本格的に行うためには、ITインフラだけでなく制度面も見直す必要がある」と指摘した。

 最後に溝口氏は、「PCの創生期と同様に、世界中のアプリケーションベンダやハードウェアベンダが、スマートデバイスを対象にした各種製品の開発を押し進めている。弊社では、その中からより優れた製品を選択・提供することで、企業におけるスマートデバイス活用の可能性拡大に寄与していきたい」と締めくくった。

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