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» 2012年03月01日 12時00分 公開

特集:自社の命運を左右するIT資産管理(2):IT資産管理ツール、失敗しない選択基準 (1/2)

IT資産管理はリスクコントロール。取り組む目的を見据えることが大切だ――本特集第1回では、ソフトウェア資産管理評価認定協会(SAMAC)代表理事 篠田仁太郎氏へのインタビューを通じてIT資産管理のポイントを振り返った。今回はツール選びの要点を探る。

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

単純な横並び比較では選べないIT資産管理ツール

 本特集第1回では、ソフトウェア資産管理評価認定協会(SAMAC)代表理事 篠田仁太郎氏へのインタビューを通じて、IT資産管理の取り組み概況と成功のポイントを紹介した。中でも重要なのは、「IT資産管理を行う目的を設定し、計画的に行うこと」と、部門横断での管理作業を円滑化する「経営トップの理解」だ。

 特に前者については、「目的に応じてリスクアセスメントを行い、それに基づいてIT資産管理の対象範囲を決めること」が、現状把握とその後の管理を確実化する鍵となるが、この「目的を起点に考える」スタンスはツール選びにおいても重要なポイントとなる。

 現在、複数のベンダからツールが提供されており、機能の数や種類、価格もそれぞれ異なっている。だが、単純にスペックだけを比較して「どれが最も優秀か」と考えても、自社の目的にマッチしていなければ何の意味もないためだ。例えば、情報セキュリティ対策が目的なら、ログ管理機能などセキュリティ系の機能も併せ持っていた方が望ましいし、コスト削減が目的なら、資産の保有・使用状況を継続的にモニタリングするためのリポート機能などが必須となろう。目的が明確なら、製品選びの基準もおのずと明確になるわけだ。

 ただ、そうした“自社にとって必要な機能”以前に、“ツールとして備えておくべき機能”も存在する。今回は、IT資産管理ツールに求められる基本要件について篠田氏に話を聞いた。

インベントリ収集機能が必要不可欠

 「現在は複数のベンダからさまざまなツールが提供されている。ただ、ツール選びのポイントについて話す前に、一点確認しておきたいのは『このツールを入れれば一気に管理できるようになるのでは……』という誤解をしないことだ。ツールはあくまで管理作業を支援・効率化してくれる道具に過ぎず、作業自体はユーザー自身が行わなければならない。まずはこの点を認識しているという前提に立てば、ツールとして備えていることが望ましい機能はいくつか挙げられる」

ALT ソフトウェア資産管理評価認定協会(SAMAC)代表理事 篠田仁太郎氏

 篠田氏はこのように前置きした上で、まず第一に必要不可欠な機能として、資産情報を自動的に取得するインベントリ収集機能を挙げる。全社規模でIT資産を管理するとなれば、その数の多さから、情報の収集・管理が複雑になるためだ。

 特にソフトウェアは前回紹介したように、社内にPCが500台あれば2500?3000種類ものソフトウェアが使われているのが一般的。作業を確実に行うためにはツールが不可欠なのである。

 そのインベントリ機能のうち、最低限満たすべき要件は「基本台帳の作成・更新に必要な機能」だ。

 具体的には「スタンドアロンPCの情報収集が可能」「指定レジストリが収集可能」「プログラムの追加・削除が可能」「情報の収集・エクスポートが可能」「情報の収集時に任意項目を入力可能」なことが挙げられる。また、導入・運用コスト/管理負荷を低減する上では、「禁止ソフトウェアの設定」「メータリング機能」「自動配布機能」もあるのが望ましいという。

 2つ目はソフトウェア辞書機能。保有しているソフトウェア資産を正確に把握・管理するためには、少なくとも数万種類以上を収録した辞書が望ましい。

 「ソフトウェア資産管理では、有償のソフトウェアだけではなく無償のものも含めて、漏れなく把握する必要がある。従って管理対象はおのずと膨大な数に上るほか、管理を確実化する上では、収集した情報を分析し、社内で使用されている全ソフトウェアを、組織全体での利用を認める『標準ソフトウェア』と、特定の部門内でのみ利用が認める『個別利用ソフトウェア』に分けて管理する必要もある。一般に、辞書機能がないと全体の5%以下しか正確に把握できないと言われているだけに、ソフトウェア辞書は必須の機能と言える」

 SAMACでもソフトウェア辞書を用意しており、こちらは4万5000種類を収録。ユーザー企業における突合率は約60%ほどだという。60%というと一見、低いようにも感じるが、残りの不明な40%のうちの90%以上は、「PCが5000台規模でも10台以下にしかインストールされていない一般的ではないソフトウェア」であり、組織の中で一般的に利用されている業務上重要なソフトウェアはほぼ全て把握できるという。

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