スマートデバイス業務利用の勘所レポート スマートデバイス導入セミナー(2/2 ページ)

» 2012年07月10日 12時00分 公開
[取材/文:唐沢正和, 構成:@IT情報マネジメント編集部 ,@IT]
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企業におけるスマートデバイス導入の問題点と解決方法

フォーティネットジャパン コーポレートマーケティング部 部長 余頃孔一氏 フォーティネットジャパン コーポレートマーケティング部 部長 余頃孔一氏

 3番目のセッションでは、フォーティネットジャパン コーポレートマーケティング部 部長の余頃孔一氏と、図研ネットウエイブ マーケティング部 ビジネス推進課 課長の武藤耕也氏が、低コストかつ安全にスマートデバイスを業務利用するためのソリューションを紹介した。

 まずスマートデバイスを導入する際には、スマートデバイス自体と、社内LANを守るための2段構えのセキュリティ対策が必要となる。近年、このセキュリティ対策をシンプルに実現できるとして、UTM(複合脅威管理)ツールの導入が急拡大しているという。

図研ネットウエイブ マーケティング部 ビジネス推進課 課長 武藤耕也氏 図研ネットウエイブ マーケティング部 ビジネス推進課 課長 武藤耕也氏

 フォーティネットジャパンの余頃氏はそうしたトレンドを挙げ、「フォーティネットは世界でトップクラスのUTMプロバイダ」であることを紹介。「UTMアプライアンス『FortiGate』は、高速、多機能、安価な点が大きな特徴であり、日本市場でも2004年から出荷額でトップシェアをキープしている」と、同社の強みをアピールした。また、図研ネットウエイブは、フォーティネットの日本法人設立前から「FortiGate」の販売を手掛けており、「10年間で累計2万台以上の国内販売実績を持つ」信頼性の高さも本製品の1つの特徴であることを付け加えた。

 一方、図研ネットウエイブの武藤氏は、「FortiGate」を活用したスマートデバイスマネジメントのポイントとして、「FortiGate」を中心に、複数の製品を必要に応じて組み合わせる方法を紹介。

具体的には、無線APソリューション「FortiAP」、デバイス統合管理「ベリサインMDM」、クラウド認証「ベリサインGATE」を組み合わせることで、「セキュアに利用できる環境を自社の状況に合わせて効率的に整備できる」と解説した。

スマートデバイスで実現する営業会議改革と営業生産性UP

ソフトブレーン 取締役 コンサルティング担当 木下鉄平氏 ソフトブレーン 取締役 コンサルティング担当 木下鉄平氏

 4番目のセッションでは、ソフトブレーン 取締役 コンサルティング担当の木下鉄平氏が、スマートデバイスを活用した“営業会議の改革”によって、営業生産性を大幅に向上させる方法を紹介した。

 まず木下氏は、「スマートデバイスを導入しても、営業スタッフが使いこなせず、中途半端に終わってしまうケースが少なくない。これは、スマートデバイスの導入目的を明確化していないことが大きな原因」と指摘。“目的ありき”の姿勢がツール導入の前提条件であることを印象付けた上で、スマートデバイスを「“役に立っていない従来型の営業会議”の改革」に活用した事例を紹介した。

 具体的には、同社のスマートデバイス対応SFA、「eセールスマネージャー Remix CLOUD」を活用。「案件の放置確認や兆候把握などは、スマートデバイスを通じて会議外で各人が行い、会議では受注/失注時の振り返りや反省に集中することで、“改善”に注力する体制とした」という。これにより、営業生産性の大幅な向上を実現したそうだ。

 木下氏はこの事例を基に、スマートデバイスによるSFA活用のポイントとして、(1)「入力する内容」と「会話する内容」を明確に区別(2)「入力する内容」を徹底的に簡素化(3)兆候はSFAで把握し、対応は営業スタッフが行う、という3点を挙げた。

 なお、同社では「ツールとサービスの融合」をコンセプトに据えたソリューションとして、営業活動にスマートデバイスを生かすためのトレーニングサービスや、プロセスマネジメントのコンサルティングも併せて用意しているという。木下氏は「SFAと併せてこれらを提供することで、スマートデバイスの確実な浸透とメリット享受を全方位的に支援する」と力強く訴えた。

【関連リンク】
『スマートデバイス対応SFAによる経済効果は年1億円 』(TechTargetジャパン)

数々の“壁”を越え、iPadがもたらす社内革新と新しい価値

 最後のセッションでは、ガリバーインターナショナルの椛田泰行氏が登壇。iPad導入によって査定・販売の機動性、効率性を“革命的に”向上させた、同社のスマートデバイス活用のポイントを紹介した。

ガリバーインターナショナル 経営企画室 クラウドプロジェクトリーダー 椛田泰行氏 ガリバーインターナショナル 経営企画室 クラウドプロジェクトリーダー 椛田泰行氏

 同社では、2010年5月から、iPad1の導入を開始。現在は全セールススタッフ1500人にiPad2を、中でも優秀なスタッフ300人には新型iPadを支給しているという。

 「iPadを導入した狙いは、Google Appsのクラウドインフラのメリットを最大限に引き出し、業務効率化に生かすことにあった。また、その画面の見やすさによって、画像を豊富に使った弊社の中古車販売システムを有効に生かすこともできる。加えて、スマートデバイスが企業や社会に浸透していく時流に乗っておきたいという考えもあり、総合的な見地からiPadを導入するメリットは大きいと判断した」(椛田氏)

 一方で、椛田氏はスマートデバイスの運用上のポイントにも言及。「MDM(モバイルデバイス管理)ツールの利用はもちろんだが、それだけに頼らず“心の教育”を行ってリテラシの改善にも取り組んだ」と解説。その上で、iPadを「業務専用のツール」とせず、個人使用目的のアプリも使用可能とするなど、「あえて“公私混同の使い方”を勧めた」。

 これによって自主的なiPadの活用スキル向上を狙うなど、「単にiPadを配るだけでなく、セールススタッフの視点を重視し、現場での利用シーンを想定した運用体制整備が導入成功のポイントになる」と述べた。

 なお、同社では現在、6種類のアプリを活用しているが、これは「これまでに開発したアプリの総数が6種類」というわけではなく、「複数のアプリの中で、よく使われるものだけが生き残った結果」だという。

 椛田氏は、「弊社では、SNSで収集したセールススタッフや取引先の声を基にアプリを開発し、リリース後は“本当に使ってもらえるアプリ”だけを残すなど、開発パートナーとともに、現場視点による開発を徹底している」と強調。また、今後の取り組みとして、ビッグデータの収集・分析、企業向けSNS「Yammer」の導入などを予定していることを挙げ、スマートデバイスをより有効に生かせるインフラを、広い視野を持って“継続的に”整備し続けることの重要性を訴えた。

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