日本オラクルは7月31日、ミドルウェア事業戦略に関する記者向け説明会を行った。2012年度のミドルウェア事業の好調を受けて、今年度もアプリケーションサーバ「WebLogic Server 12c」の販売や、データグリッド製品「Oracle Coherence」などを使った業務支援の提案活動に注力する他、オールインワンのプライベートクラウド構築基盤システム「Oracle Exalogic Elastic Cloud」の製品力を向上させていくという。併せて本日、「Oracle Exalogic Elastic Cloud」のハードウェア性能を高め、ミドルウェアの高速処理を実現する新しいソフトウェア製品「Oracle Exalogic Elastic Cloud Software 2.0」も発表し、ミドルウェア市場をけん引していく姿勢を打ち出した。
同社によると、2012年度はアプリケーションサーバ「WebLogic Server 12cの売り上げが対前年比で2桁の成長を記録」(同社執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 Fusion Middleware事業統括本部長の桐生卓氏)。データグリッド製品「Oracle Coherence」や、ストリームデータをリアルタイムに分析処理するCEP製品「Oracle Complex Event Processing」などによる差別化提案・導入も順調に拡大したという。また、同社のパートナー向け認定制度「Specialization」の取得数も増加。パートナーとの協業基盤が強化されたことで、多様なニーズに即した柔軟な提案活動が可能になった。
桐生氏は「2012年度の好調を受けて、2013年度もWebLogic Server 12cやOracle Coherence、Oracle Complex Event Processing、Oracle Exalogic Elastic Cloudなどの拡販に注力していく。Java EE 6に対応したWebLogic Server 12cによる開発生産性の向上や、Oracle CoherenceとOracle Complex Event Processingを使ったビッグデータの超高速処理によるビジネスの差別化などは、特に強く提案していきたい」と解説。
また、Oracle Exalogic Elastic Cloudが2010年9月の発表以降、「43カ国22業種にわたる数百社で採用された」ほか、2011年12月から2012年5月における受注件数が対前年比3倍となったことから、「今後も製品力を強化し、ユーザー企業のビジネス強化を継続的に支援していく」と述べた。その一環として、早速本日発表されたのが「Oracle Exalogic Elastic Cloud Software 2.0」だ。Oracle Exalogic Elastic Cloudのハードウェア性能と、システムのパフォーマンスを高めるソフトウェア製品で、大きく3つの機能があるという。
1つ目は仮想化ソフトウェア「Oracle VM」への対応で、仮想サーバに物理サーバ本来のパフォーマンスに近い性能を発揮させることが可能になる。2つ目はHPC(High Performance Computing)分野などで使われるサーバ間データ通信技術の1つ、InfiniBand(インフィニバンド)と、関連ソフトウェアを最適化する「Oracle Exabus」の採用。これにより通信の帯域を4倍高速化、遅延を6分の1に短縮する。そして3つ目は、統合運用管理ソフトウェア「Oracle Enterprise Manager 12c」に対応したこと。これにより、アプリケーションからディスクまで、統合的に運用管理できるようになるという。
このOracle Exalogic Elastic Cloud Software 2.0を含むOracle Exalogic Elastic Cloud(1/8ラックモデル)の最小構成価格は5078万8500円(税込み)。同社 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 本部長の龍野智幸氏は、「本製品により、ミッションクリティカルな仮想環境の構築や、システムパフォーマンスの向上、ハードウェアからアプリケーションまでの包括的な運用管理といったさまざまなメリットを享受できる。着実に増えている導入事例とともに、Oracle Exalogic Elastic Cloudで実現できるビジネス機会の獲得やコスト・複雑性の削減などを、パートナーとともに積極的に提案していきたい」と述べた。
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