倉庫業務の効率化や在庫精度アップを実現したいなら、ロケーション管理の見直しが重要です。どこに何があるか分からない、ピッキングや棚卸しに時間がかかる、そんな現場の悩みはありませんか？ 本記事では、ロケーション管理の基本や主要な管理方式、導入しやすいシステムの選び方まで解説します。
この1ページで解決！WMS（倉庫管理システム）の主な機能、メリット／デメリット、選定ポイントを徹底解説
目次
倉庫のロケーション管理とは
倉庫ロケーション管理は、倉庫内で「どこに何があるか」を明確にし、在庫管理の精度を上げるための大切な仕組みです。現場での作業ミスや混乱を減らす基礎となります。
ロケーション管理の定義と役割
ロケーション管理とは、商品ごとに棚や区画などの保管場所へ「住所」を割り振り、その情報と商品をひもづけて管理する方法です。この住所は「ロケーション番号」や「ロケ番」とも呼ばれます。
例えば、商品Aを「B-02-04」という場所に置く場合、「Bゾーンの2番通路、4番目の棚」といった形で明確に記録します。この仕組みがあることで、作業者がどの商品がどこにいくつあるかを迷わず把握できます。
また、新人やベテランといった経験の差に関わらず、同じ品質でピッキングや棚卸しができるようになる点も注目です。こうした標準化により、属人化やヒューマンエラーの発生も抑えやすくなります。
ロケーション管理とWMS（倉庫管理システム）の関係全体像については「物流システム・在庫管理・WMSの違いとは？ 」をご覧ください。
ロケーション管理で解決できる現場課題
ロケーション管理を取り入れると、現場で抱えがちな問題が解消しやすくなります。
- 商品を探す時間やムダな動きが大きく減る
- 棚卸しや日常の在庫確認が短時間で済む
- 欠品や誤出荷といったリスクが下がり、顧客満足度も向上する
適切な管理ができていれば、棚卸しや在庫確認のたびに商品を探す必要がなくなります。ピッキング作業も指示されたロケーション番号に沿って進めるだけなので、無駄な歩行距離も短縮されます。その結果、全体の作業スピードが上がり、誤出荷や在庫差異の発生も防ぎやすくなります。
在庫管理システムの機能と効果の俯瞰には「在庫管理システムの機能一覧｜システム導入の効果、主要製品」をご確認ください。
ロケーション番号の付け方と設計のコツ
ロケーション番号のつけ方や設計方法によって、倉庫の作業効率が大きく左右されます。現場が混乱しないためには、誰でも分かりやすく、将来的な拡張にも対応できる仕組みを作ることが重要です。
分かりやすいロケーション番号の振り方
ロケーション番号は、倉庫を「ゾーン」「通路」「棚」「段」などの単位で階層的に分けて設計するのが基本です。
例えば、「A-01-02-03」とルール化して設定すれば、「Aゾーンの1番通路、2つ目の棚の下から3段目」といった具合に、一目で場所を特定できるようになります。
また、複数階にわたる倉庫では、階数を番号に含めるなど、施設全体の構造を網羅するルールづくりも重要です。棚や保管エリアが増える可能性を考慮して、番号に余裕を持たせておくと、増設時にも柔軟に対応できます。
| 設計のポイント | 内容例 |
| 階層構造 | ゾーン→通路→棚→段で管理 |
| 施設全体を網羅 | 複数階なら階数も番号に含める |
| 拡張性を持たせる | 番号に余裕を持たせ、増設にも対応 |
| 誰でも分かりやすい | 直感的に特定できる仕組みを意識 |
棚・ラベル運用の低コスト／容易な基礎整理には「QRコードで行う在庫管理の方法、QRコード導入のメリット」をご確認ください。
ロケーションの設計で注意したいこと
ロケーション番号の設計時は、単なるルール化だけでなく、作業者の認知負荷を下げる工夫も求められます。
- ロケーション番号は大きく見やすく表示する
- エリアごとに色分けテープを貼る、看板の色を変えるなど視認性を高める
- 通路を挟んで奇数・偶数番号を振り分け、どちら側かすぐ分かるようにする
- 一筆書きで移動できるように番号を振り、ピッキング動線を最適化
こうした工夫により、作業者が迷いにくくなり、効率的な倉庫運営につながります。物理的な表示や運用面の配慮も忘れずに行いましょう。
ロケーション管理の主要方式と特性
倉庫ロケーション管理には「固定ロケーション」「フリーロケーション」「ダブルトランザクション（複合型）」の3つの方式があり、どれを選ぶかは現場の特性によって変わります。
固定ロケーションの特徴
固定ロケーション方式は、商品ごとに決まった場所を割り当て、常に同じ場所に保管するシンプルな管理方法です。
この方法の最大の利点は、商品を覚えやすく、棚を見れば在庫の増減が一目で分かる点です。補充や欠品の判断がしやすく、システムを使わずとも運用しやすいことも特長といえます。
ただし、商品が欠品しているとスペースが空いたままになるため、デッドスペースが発生しやすいという課題もあります。SKU（Stock Keeping Unit、最小管理単位）数が少なく、需要が安定した商品に向いた方式です。
フリーロケーションの特徴
フリーロケーション方式は、空いている場所にその都度商品を保管する、柔軟性の高い管理方法です。商品の入れ替わりが激しい場合や、多品種少量の商品を扱う現場に適しています。
この方式はスペースを最大限に活用できる反面、保管場所が毎回変わるため、どこに何があるのかシステムでしっかり管理しなければなりません。倉庫管理システム（WMS）が必須となり、記録がなければ商品が見つからなくなるリスクも高まります。
| 方式 | 特徴 | 適した現場 |
| 固定ロケーション | 覚えやすい・運用が安定／デッドスペースができやすい | 少品種多量・定番商品 |
| フリーロケーション | 柔軟・保管効率が高い／システム必須・目視管理が難しい | 多品種少量・EC・アパレル |
ダブルトランザクション（複合型）の使い方
ダブルトランザクション方式は、ピッキングエリアを「固定ロケーション」、ストックエリアを「フリーロケーション」として分けるハイブリッド型です。
出荷頻度の高い商品をピッキングエリアで固定管理し、ストックエリアにまとまった在庫を置いておく仕組みです。こうすることで、ピッキング効率と保管効率を両立できます。ECや大量出荷型の物流拠点で多く採用されていますが、補充作業の管理も重要となります。
ピッキング支援・ルート最適化などWMSの該当機能は「WMS（倉庫管理システム）のおすすめツールを徹底比較」をご覧ください。
関連記事WMS（倉庫管理システム）の主な機能、メリット・デメリット、システムの選び方
ロケーション管理を支えるWMS（倉庫管理システム）の役割
現場の運用レベルをさらに高めるには、在庫管理システム（WMS）の導入が現実的な選択肢です。システム活用で、ミスの防止や作業効率アップが図れます。
WMS（在庫管理システム）とは
WMS（Warehouse Management System）とは、倉庫内の入荷・在庫管理・ピッキング・出荷・棚卸しなど、全体の業務をデジタルで一元管理する専用システムです。
商品のバーコードやロケーションバーコードをハンディターミナルでスキャンし、「どの商品がどこにいくつあるか」をリアルタイムで管理できます。ピッキングリストも自動で作成され、作業者は指示に従って正確に作業を進められます。
Excel・アナログ運用との違い
Excelや手書きの在庫台帳は、手軽に始めやすいですが、手入力ミスやデータのタイムラグによる在庫差異、情報のリアルタイム共有の難しさといった課題があります。SKU数や拠点数が増えると、管理が複雑になり精度も下がりがちです。
一方、WMSはデータをリアルタイムで更新でき、バーコードスキャンによる機械的なチェックでヒューマンエラーを大きく減らせます。また、拡張性も高く、多人数や多拠点で同時に管理できるのが強みです。
WMS（倉庫管理システム）のメリットと効果
倉庫ロケーション管理を支えるWMSには、多くのメリットがあり、現場の最適化や業務効率化に役立ちます。自社の課題や規模に合ったシステム選びが重要です。
WMSの主な特徴とメリット
- 入出庫・在庫・ロケーション情報を一元的に管理できる
- 在庫状況がリアルタイムで更新され、誰でも作業しやすい環境が作れる
- ピッキングリストや棚卸指示を自動で作成し、作業負荷を軽減できる
- 他のシステム（基幹・販売・ECサイト）との連携も容易
WMSの導入により、作業標準化や属人化の解消が進みます。新人教育の期間短縮や急な人員変動にも柔軟に対応できるため、現場全体の生産性が高まります。
作業標準化・省人化の具体像は「倉庫の在庫管理を効率化する方法」をご覧ください。
導入で得られる効果
WMS（倉庫管理システム）を導入すると、現場には次のような変化が生まれます。
- 作業効率が大きく向上／無駄な移動や手戻りが減る
- バーコード照合でピッキングや棚卸し時のミスが減る／誤出荷や在庫差異を抑えやすくなる
- 入出庫と同時に在庫データがリアルタイムで更新される／棚卸しや在庫確認がスムーズになる
- 作業手順がシステム上で標準化され、経験の浅い人でも安定した品質で作業ができるようになる
- 現場データが自動で蓄積され、分析や業務改善の判断材料として活用しやすくなる
- 誤出荷や在庫差異が減り、再配送や在庫廃棄などのムダなコストも抑えやすくなる
このように、WMSの導入は現場の負担を減らし、在庫管理の質を高めるきっかけとなります。
倉庫ロケーション管理を強化するWMS（倉庫管理システム）4選
最後に、ロケーション管理機能が充実し、現場の運用に合いやすいWMSを4つ紹介します。システムごとに特長が異なるので、自社の業務内容や課題に合ったものを選ぶとよいでしょう。（製品名 abcあいうえお順／2025年11月時点）
Connected Linc
Connected Lincは、クラウドとオンプレミスの両方に対応したWMSで、固定・フリー両方のロケーション運用が可能です。バーコードやハンディターミナル連携で、入出庫から棚卸しまで正確な管理ができます。複数倉庫の一元管理や、最適なピッキング動線の自動作成にも対応しており、ロケーション設計の柔軟性が高い点も特長です。
