CEATEC JAPAN 2006
本当にSEDは世に出てくるのか(1/3 ページ)
今年春に発売延期を発表。そして今回のCEATECで来年中の発売が発表されたSED。その可能性や素性の良さは誰もが認めるところだが、果たして本当に世の中に投入されるのだろうか? SEDブースに展示された55インチのSEDディスプレイは、平塚にあるSEDのパイロットラインにて、量産向けプロセスを用いて製造された初のフルハイビジョンSEDだ。
その出荷スケジュールを確認するとともに、初めて公開されたフルHD SEDの画質をリポートしよう。昨年のCEATECでインタビューに応じていただいた、東芝 SED開発・事業推進プロジェクトチーム事業企画担当参事の森 慶一郎氏のコメントを交えながらコラムを進めていきたい。
まず出荷スケジュールに関しては、「福間(SED社長)がアナウンスした通り」(森氏)というように、2007年12月に平塚工場で55インチフルHDパネルの量産を開始。2008年中に元は東芝のブラウン管工場があった姫路で、本格量産を開始する。
そもそも、これまで何度かSEDの出荷が延期されてきたのは、わずか2ミリのスペースに10万ボルトの電圧をかけて電子を放出し、蛍光体を発光させるというSEDの技術的な難しさがあったからだ。同様の原理を持つFEDも含め、この手の技術はいずれも実用化のめどが立っていない。その中で当初、2005年の出荷と言われたこと自体が、ほとんど奇跡のようなものだった。
それが何度かの延期を経て、昨年のCEATECで自信を持って出荷予定をアナウンスしていたのは、量産の目処が技術的に立ったからだろう。誰もすすんで狼少年になりたいわけではない。にもかかわらず、今年春にも再延期が発表された理由を、SED側は明らかにしていない。
だが、噂によれば、歩留まりを上げていく過程でどうしても変更しなければならないプロセスが見つかったのが直接的な原因。その歩留まり阻害要因を排除するには、プロセスそのものの大きな変更が必要になった。プロセスを変更するぐらいならば、(その時点での)最終プロセス決定後に蓄積した高画質化のための工夫を、最初の世代から盛り込もうと大規模な変更を施した……。と、以上はあくまでも業界内に流れた噂だ。
では実際にはどうなのか?
「すべてをお話できるわけではありませんが、延期の理由は主にコストです。画質に関して言えば、以前も今も、狙っている画質は同じ。しかし、量産レベルの歩留まりにまで上げていき、最終的に事業として成立させるために、製造プロセスの改良を行いました」(森氏)
否定とも肯定とも言えない内容だが、実際に展示された55インチフルHDのSEDを見ると、そんなことはどうでも良くなってくる。すでにWXGA解像度の36インチのSEDは、東芝あるいはキヤノンが、様々な展示会で見せているが、今回のCEATECで披露された55インチSEDからは、36インチ時とは次元の異なるインパクトを受けた。
コントラスト比のスペックは昨年の10万対1から5万対1に下がっているが、ここまで来ると細かい数字はあまり意味を持たない。コントラストが高いのはもちろんだが、階調が実に滑らかで、色相が回転しながら輝度が変化するような絵柄でも、全く不安無く“当たり前に”美しい映像が、美しいまま、一切のディテールを失うことなく見通せる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
Excel、40年続く原則を変更へ 1個のセルで複数の値を扱う新機能
-
2
「タイムズカー」会員情報約660万件漏えい 運転免許画像など 不正アクセスで
-
3
Anthropic、「Claude Sonnet 5.5」公開 料金据え置きで30%以上高速化、タスク当たりコスト最大3割減
-
4
Ankerの回収対象モバイルバッテリーで発火事故 25年度も7件、消費者庁が注意喚起
-
5
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
6
カカクコム、KDDIとの資本提携を解消 TOBで資本構造が変化 業務提携は継続
-
7
クリスタ素材非公開、セルシスに詳しく聞いた 「英国政府とは無関係」……決済事業者は?
-
8
「スマホ注文なのに客用Wi-Fiがない」のはなぜか? 導入しない飲食店側の事情
-
9
OpenAI、最上位モデルのツール使用を伴う学習・評価・推論を全て停止したと発表
-
10
東京メトロ、不正アクセスで会員メアド約5万9000件漏えいのおそれ 海外からか
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR