旭化成ホームズの社内システムが地震で全停止……したらどうする? 同社グループが本当にやった災害訓練(1/3 ページ)

 震災で社内システムが止まる。いま何件の家が工事中かも、どこに誰が住んでいるかも分からない。それでも、被災した顧客のもとへは急がなければならない──住宅メーカーにとって、できれば考えたくない事態だろう。この状況をあえて想定し、グループ6社から約100人を集めて丸1日の訓練をした企業がある。旭化成ホームズだ。

 同社グループは1月、「2025年度 旭化成ホームズグループ 災害対策訓練」を実施した。災害初動における対応力向上を目的に19年から続けている訓練で、今回で7回目。旭化成ホームズの各部署に加え、旭化成不動産レジデンス、旭化成リフォーム、旭化成ホームズコンストラクション、旭化成ライフライン、旭化成ホームズフィナンシャルといったグループ各社から役員・社員が参加し、外部コンサルタントとしてSOMPOリスクマネジメントも加わった。

 訓練は2部構成で、第1部は首都直下地震の発災直後を想定し、関係者が集まって実際の動きを確認。シナリオは毎年異なり、今回は「社内システムが完全に停止したら?」という条件がついた。第2部では、南海トラフ地震から1カ月後を想定し、具体的な対応を議論したという。同社が大規模な訓練で得た気付きや学びとは。担当者の大杉健太さん(総務部総務企画室/BCP推進室 課長)に聞いた。

大杉さん

顧客情報も工事中の物件も見られない システムが止まった1日

 訓練は朝10時ごろから午後5時ごろまでほぼ丸1日をかける。第1部は、冒頭にガイダンスを実施した後、「いま地震が起きました」と号令がかかってスタート。参加者はまず幹部の安否を確認し、災害対策本部を立ち上げる。その後、20~30人の幹部による第1回対策会議を実施。その後、各班に分かれてそれぞれの対応を検討する。

 今回編成したのは「情報収集班」「従業員対応班」「IT班」「入居宅対応班」「保険対応班」「施工・物流・購買班」「テナント対応班」「広報・渉外班」など。例えば従業員対応班は安否確認や「自宅にいる人間は待機」といった社員への行動指示、入居宅対応班はすでに住んでいるオーナーへの対応などに当たる。

 シナリオは回を重ねるごとに厳しくしてきた。当初は手探りだったが、コロナ禍には全員がリモートで参加する訓練を行い、その後は社長やキーパーソンが不在という条件も設定した。システムについても、これまでは「一部に制限がある」設定にとどめていたが、今回は徹底することに。インターネットを含めて社内システムがつながりにくく、発災から24時間は使えない。翌日から復旧する──というシナリオを事前に決めた上で臨んだ。

訓練の様子(旭化成ホームズ提供)

 「本社機能的なものは、しばらく止まってもなんとかなる。ただ、顧客対応は別。いまの日常業務はほぼ全てシステムを通している。それがなくなったときに、今何件の顧客(の物件)が工事中なのか、住んでいる顧客はどうか、全く見られなくなってしまう」(大杉さん)

 さらに、突発的なトラブルも発生する。マニュアルに沿って動くだけではリアルな訓練にならないとして、事務局が災害の時系列に沿ったトラブル情報を断続的に各班へ提示。対応を求めた。

 例えば施工・物流・購買班には、施工中の現場で足場が倒れて通行人に当たった、という情報を提示。広報・渉外班にはある部署の社員が自宅で転倒してけがをした、といった情報を提示したという。

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