HDカメラの新たな可能性を開く1台 “ハンディカム”「HDR-XR520V」:特集 春のフルHDビデオカメラ(6)(2/2 ページ)
撮像素子やレンズ、手ブレ補正まで含めたフルモデルチェンジを遂げた“ハンディカム”「HDR-XR520V」。この春一番とも評判の高い機種だが、そのデキはいかに。
新たな映像表現を可能にする、驚異的な手ブレ補正
HDビデオカメラでは、もうひとつ、手ブレによる画面の乱れが高精細なぶんSDカメラより目立ちやすいという指摘もある。そこでHDR-XR520Vの光学式手ブレ補正機構では、ワイド側で従来の約10倍という、広い範囲でレンズを動かして補正する「アクティブモード」が新たに追加された。
今回は「散歩する友達を、いっしょに歩きながら撮る」というシチュエーションを想定した撮影も行なったが、どんなテクニックを使うとこんな映像が撮れるの? と聞きたくなるほどの、安定してしかも自然な効き具合が得られた。もちろん三脚にのせて撮るのともまったく異なる雰囲気で、いわゆるステディカムを使ったショットのような、新たな表現を獲得しているといってもいいのではないだろうか。
もちろん顔検出技術も、安定した映像に一役買っており、フォーカスや明るさがきちんと顔に合った状態を維持してくれる。さらに、被写体が笑顔になった瞬間に、動画撮影中でも裏で静止画を同時撮影する「スマイルシャッター」機能が利用できるのも、ソニー製品ならではの見どころだ。
ソニー製品ならではといえば、見やすい液晶モニターも魅力の1つ。従来から同社の上位モデルは、3型以上の大型かつ高精細なタイプを採用しており、HDR-XR520Vでも、3.2型/92.1万画素というハイスペックな液晶パネルが使われており、他社の追従を許さない。
屋内・屋外ともに視認性の高い半透過型パネルを使用しているためか、輝度が若干低めな点だけは気になったものの、ピントが合っている部分と、なめらかにボケている背景の違いなどもクリアに確認でき、撮影中はもちろんのこと、撮影した映像をカメラで気軽に再生するといった場面でも、HDカメラらしい高精細さを実感できる。
GPSユニットと地図で動画を視覚的に検索
240GバイトというHDDの容量も他社製品にない大きさだが、撮りためておけるデータ量が膨大になれば、目的の映像を検索するのも大変だ。そこでユニークな試みとして、本製品にはGPSユニットと地図データがカメラ本体に内蔵された。録画を開始した時点の位置情報が記録されるので、撮影した地点を地図上に表示させることができる、つまり、撮影した映像を、地図を使って視覚的に検索できるというわけだ。
地図データは日本全国のほか、北米、ヨーロッパ、オセアニアのデータが収録されており、現在地が分かる単純な地図として使えるのも、旅行中などに便利だろう。同社からは外付けのGPSユニット「GPS-CS3K」も用意されているので、XR520V/XR500V以外の同社製カメラでも、PCに取り込んだ後であれば同様の使い方が可能だが、カメラ自体に内蔵している手軽さにはかなわない。なお、撮影したデータの検索方法としては、このほかに顔検出機能で笑顔を認識した映像を抽出する機能も利用でき、撮影時だけでなく再生時にも、搭載した機能をフルに使う便利さを実感できる。
おなじみの液晶タッチパネルによる操作やレンズ下のカメラコントロールダイヤルなど、使い勝手のよさも健在だ。HDR-XR520Vは、低照度時の画質改善や手ブレ補正の進化などにより、フルHDビデオカメラの可能性をぐっと広げてくれた。幅広いシーンに対応できることから、初めてのカメラとしておすすめできるだけでなく、新たな映像表現にチャレンジしたい向きも注目の1台だろう。
作例
作例は、静止画はアスペクト比4:3の1200万画素相当(4000×3000ピクセル)、動画については最高画質のFHモード(1920×1080ピクセル/約16Mbps)で撮影した。設定のカスタマイズは行わず、フルオートで撮影している。なお、本製品は24Mbpsでの録画モードを持っておらず、FHモードが最高画質モードとなる。
FHモード(1920×1080ピクセル/約16Mbps)からのスクリーンショット。最高画質モードでもビットレートが16Mbpsにとどまるせいか、他社製品で採用されている24Mbpsモードに比べると若干甘めで立体感に乏しく感じられる。だが、全体の雰囲気はよく出ている
FHモード(1920×1080ピクセル/約16Mbps)からのスクリーンショット。オート撮影では実際より明るく感じてしまうほどで、しかもクッキリと映し出されるので本当に民生用か疑うほど。明るすぎると感じた場合には「夜景」モードにするとかなり落ち着く
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