全国行脚で分かった地域性の違い――「ポタフェス Limited」ロングインタビュー(前編)(4/4 ページ)
3月末から3カ月におよぶ全国キャラバンを行った「ポータブルオーディオフェスティバル(ポタフェス)2015 Limited」。各地域の特徴や売れ筋の違いなどについて、広報担当の松田信行氏、そしてポタフェス事務局長として運営に努めた岡田卓也氏に話を聞いた。
e☆イヤホンのお膝元で2年前の雪辱を果たす
今回のキャラバンで最大規模となった大阪会場は、TSUTAYAサイレントライブなど、イベント運営という面でも重要な経験となった。岡田氏は2年前の第3回大阪会場を「苦い思い出」としたが、今回はその雪辱を果たした様子だ。
岡田氏:物販コーナーでは売上金額・件数共にNo.1でした。この辺りはさすがというべきでしょう。カスタムIEMも大人気で、耳型採取をお願いしていた「きこえ補聴器」の担当さんが「手が痛くなった」と言っていらしてましたね。
――大阪会場限定のイベントもありましたね。Final Audio主催のイヤフォン自作教室では、当日キャンセルの2枠をめぐって、急きょ大じゃんけん大会なんかも開催されていました。
岡田氏:自作教室の反響も良かったですねそれからTSUTAYAさんとの連動企画も、大阪で「サイレントライブ」というカタチになりました。タワレコさんとかと違って、今までTSUTAYAさんではあまりインストアイベントをやってきませんでした。
――アース・スターレコードなど、グループでコンテンツを持っているのに、不思議な感じですね。
岡田氏:しっかりとしたライブイベント運営の出来る人が、TSUTAYAさんの内部にいなかったみたいです。今回のあべの橋駅前店でのサイレントライブは、TSUTAYAサイドからも一石を投じたイベントだったそうですよ。会場の階段に列ができるくらい、多くの方がいらっしゃりましたからね。
――ライブなのにヘッドフォンを使ってアーティストの曲を聴くという発想がとても斬新ですよね。
岡田氏:僕達も初めてでした。僕はあべの橋の会場に行っていたんですけど「こんなの体験したことない」「イヤフォンで音が違うの知らなかった」「アーティストがとても近い」「耳元で歌ってくれる」など、多数の「生の声」を直接いただきました。一番喜ばれたのはファンのみなさんだと感じましたね。
松田氏:通常のインストアライブや、雑多な空間のストリートライブとも全然違う体験ですよね。言うなれば「アーティストと一緒にその場限りのマスターを聴く」といったところでしょうか。
岡田氏:不思議な空間を共有できたと思います。同一体験という一体感が凄くて、ライブ後にファンの方からいっぱい感謝の言葉をかけられ、そのまま仲良くなったりもしました。中には感極まって涙を流している方もいらっしゃいましたよ。
――そんなにすごい体験ができるのならば、いっそお店にライブ会場を常設してみては如何ですか。
松田氏:アリかもしれない(笑)。
岡田氏:考えておきましょう。それはそうとして、今回の大阪は他の会場の3倍の広さでした。
松田氏:ブランドはおよそ100弱。入り口に立っていて、閉幕直前までお客さんが途切れなかったです。
岡田氏: 大阪というとどうしても2年前を意識せざるをえないです。正直いってあの時はあまり芳しくなかったですから。
――傷口をえぐるようで申し訳ないですが、2年前のことを教えて下さい。その時の目玉は何でしたか?
岡田氏:シュアのハイエンドモデル「SE846」が関西初上陸という時期でしたね。試聴整理券を徹夜で作ったのを憶えています。
――ということは、同じシュアの「SE535」などがブイブイいわせていた時代ですね。一般的なハイエンドモデルの相場がだいたい5万円弱といったところでしょうか。ゼンハイザー「HD800」やAKGの「K3003」で“6桁円”の兆しも見えたりした気もします。
岡田氏:今ではプレイヤーはAKだったり。
――イヤモニメーカーがカスタムIEMの手法をそのままに、超弩級のハイエンドのユニバーサルを作ったりしてきますよね。
松田氏:「Layla」「Angie」などですね。「SE846」はこういったもののはしりだったように思います。
岡田氏:2年前の印象と全然違いました。あの時と比べても、みなさんの装備品単価がグッと上がりましたね。以前とよりもずっとマーケットが成熟したと感じます。
言い方に困りますが、若干大阪を避けていたようなところがあったんですよ。で、今回改めて大阪でやってみると、自分たちの地元で熱意をもって歓迎されました。「なんで今までやってくれなかったの?」など、みんな声をかけてくれてアットホームな雰囲気でした。昔のお客さんなど、熱心な「e☆イヤホンファン」が多かったです。
松田氏:大阪には店舗もあるけれど、こういうイベント的な、フェスティバルに乗りたいんでしょうね。お祭り的なものをやってほしかったのかな?
岡田氏:店舗があるにも関わらず、イベントにこれだけの方が来てくれるのがうれしかったです。これでトラウマが1つなくなって、スッキリしました。
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