麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」
放送を殺す「4K放送コピー禁止」の危険性(1/5 ページ)
昨年末、NexTV-F(次世代放送推進フォーラム)の会合が開かれ、4K放送の規格が策定された。ところがこの規格書の中に「4Kは録画禁止」とも受け取れる記述があり、放送の未来が大いに揺れている。かつての「コピーワンス」よりもさらに深刻な今回の事態について、12年前「コピーワンス反対!」と吼えた麻倉怜士氏がその危険性に警鐘を鳴らす。
――今回は年始早々に明るみに出た、4K放送の録画に関する問題について考えたいと思います。そもそも今どういう問題が出ているんでしょうか?
麻倉氏:ではまず、今回のテーマについて説明しましょう。昨年末に開かれたNexTV-F(次世代放送推進フォーラム)の「サービス要件検討ワーキンググループ」(民放、メーカー各社の代表者で構成)にて4K、8K放送の規格が話し合われたのですが、その際に民放局が提案した「コピーネバー運用への対応願い」が問題なのです。1月にオーディオビジュアル系の専門サイトが相次いで報じ、ネット上で話題になりました。
ワーキンググループの成果として12月25日に1000ページ以上ある長大な書類として発表された「広帯域衛星デジタル放送運用規定ver1.0」が発表されました。今後のBS波を使う4K、8K放送の規格書です。このうち、923ページの「コピー禁止に関する運用」が問題になっているのです。まず現状の確認ですが、これまでの2Kの無料(広告)放送、月極などの有料放送では放送局がコピー禁止を運用できないものとして定められていました。ユーザーが録画機器を使って放送をコピー、つまり録画することはアナログ時代から権利として認められています。これは著作権法30条1項の「私的利用のための複製する権利」の行使ですね。
――今現在私達が当たり前のように行っている録画行為の法的根拠ですね。
麻倉氏:ですが、件の資料によると、4K放送ではここの欄が「T.B.D.」(To Be Determine:検討中)となっています。つまり今後の成り行き次第では「コピー禁止の運用が可能になる」という可能性が出てきたのです。これは理論的には「ある番組はコピー可能、別の番組ではコピー禁止」という運用になることを意味します。
――例えばテレビ朝日が「報道ステーションは録画してもいいけど、その前に放送しているドラマやミュージックステーションは録画禁止ね」といったことになるかもしれない、と?
麻倉氏:いえ、実際問題として1度コピー禁止に決まったら、その運用が固定される可能性が非常に高いでしょう。現在のダビング10でも、仕組みとしては「コピーワンス」を番組によって与えることも可能ですが、現実にはすべての番組がダビング10で運用されています。放送局は、放送の仕様をいちいち番組毎に変えるのは放送事故のもとになるという理由から、これを非常に嫌います。なので、いったん「運用が可能」となれば、実際はすべて録画禁止になる可能性が極めて高いといえましょう。コピー禁止に「できる」はコピー禁止に「なる」と同義であると考えるべきです。
――つまり建前上はコピーの可否が放送局側で決められるけれど、実際は全ての4K放送が録画禁止となってしまうという訳ですよね? 21世紀の日本で、録画のできない放送が幅を利かせる? そんなバカな……。
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