「レグザがレグザであり続けるために」――10周年を迎えた東芝レグザの現在と未来(2/2 ページ)
10周年を迎えた東芝の薄型テレビ「REGZA」(レグザ)だが、東芝が構造改革を進める中、「レグザは大丈夫か」という声も多く聞かれる。今回は、10年前から“レグザの顔”として知られる東芝ライフスタイルの本村裕史氏に、レグザを取り巻く状況と今後について話を聞いた。
ブランド供与型ビジネスとは、他社に「TOSHIBA」ブランドのテレビの開発・販売を行う権利を与え、ロイヤリティーを得るビジネスモデルだ。既に欧米市場においては台湾のコンパルが、中国を除くアジア地域では中国スカイワース、そして中近東アフリカ地域ではエジプトのエルアラビが名乗りを上げた。いずれも東芝がテレビやPCの製造を委託してきたパートナー企業であり、本村氏は「東芝のテレビ作りを理解している企業」と評価している。
「ブランドの供与先は、条件の合う企業だけです。つまり、ブランドの方向性と製品の品質を維持できること。われわれは供与先に対して最初に製品の方向性を伝えるなどのディレクションを行い、その後も定期的なチェックを行っていきます」。
一方の国内テレビ事業はどうなるのか。これまでの発表によると、東芝はレグザの開発拠点として知られる青梅事業所の閉鎖などで固定費を削減しつつ、製造は海外のパートナーに委託して収益力を高める方針。今度は販売台数を追うのではなく、高付加価値製品を中心に年間約60万台まで絞り込むとしている。
つまり東芝のテレビ事業は、リソースのほとんどを国内向け製品開発に注ぎ込み、高付加価値製品に力を入れる。そのままの意味に受け取れば、これまでレグザを支持してきたユーザー層も今後に期待できる内容になっている。ただし、それはレグザの開発体制が維持されることが前提だ。レグザのユニークな製品を支えてきたのは、他ならぬ開発者たちなのだから。
「レグザの開発体制は全く変わりません。映像エンジンを担当する半導体開発メンバーやソフトウェア開発メンバー、(要素技術を開発する)研究所、デザイナー、そしてわれわれのような製品企画に至るまで、すべてのメンバーがそろっています。また、拠点の集約によって各担当者が密に話をしながら製品を開発できるようになりました」と本村氏。さらに「企画や設計は既に2016年モデルの内容を完全に固め、現在は2017年、2018年モデルの構想を進めている段階です」と、今まで通り、長期スパンで新製品の開発を進めていることを示した。
「レグザがレグザであり続けるには、『これはいい』と思ってもらえるような“こだわりのある製品”、“骨太の製品”を作り続けていく必要があります。それは事業部を含めた全社員の思い。国内では、10周年を機に新たに攻勢に出ます」(本村氏)
レグザの10周年記念モデルの第1弾として登場した「V30シリーズ」は、奇しくも最初のレグザ「C1000/H1000」と同じアンダースピーカースタイルとなった。次回は、このV30シリーズを中心に話を聞いていこう。
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