街が変わる、家も変える――IoTを活用するLED照明の可能性:滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(3/3 ページ)
3月にドイツのフランクフルトで開催された照明と住宅設備の展示会「Light+Building」では、最先端のLED照明を見ることができた。今回は最も大きなブースを構えていたフィリップスを例に、IoTを活用した最先端の照明の世界をのぞいてみよう。
「Hue」が実現するスマートホーム
フィリップスの家庭用LED照明のうち、日本でも有名なのが「Hue」(ヒュー)だ。スマートフォンやタブレットで操作できるLED照明で、ライトリボン、コントロールスイッチなどバリエーション豊かなラインアップを持ち、室内を演出できる。そして今回、新たに「ホワイトアンビエンス」というLED電球が追加された。この製品は、涼しげな昼光色(6500k)から暖かみのある電球色(2200k)まで、白色光のさまざまなニュアンスを表現できるというもの。自然な目覚めや快適な入眠をサポートするという。
フィリップスは、Hueはサードパーティー製アプリを活用して家庭内のIoTをより現実的な形で普及させようとしている。その分かりやすい例が、防犯関連の使い方だ。「KPN SmartLife」は、KPNのスマートホーム用セキュリティサービスで、「Hue」と連携させると外出先からも家の中に人がいるかのように光を調節し、防犯に役立てる(いわゆる、いるふり防犯)。また「Hue」の照明を「KPN SmartLife」の“Veilig”というアラームとリンクさせれば、アラームが鳴ると同時にスイッチが入って侵入者を驚かす。
AXAの「Mon AXA」というアプリは、家の中に煙が立ち、それを煙センサーが検知すると同時に、Hueの照明が赤く点灯してアラームを鳴らす。その場でユーザーに知らせるほか、スマートフォンなどに警告を送信して、危険が迫っていることを教えてくれる。
これまでのLED照明は、主に長寿命や省エネという観点で語られることが多かったが、既に照明の役割を超えたものになりつつある。今後も、さらに快適な生活環境を実現するため、IoTを活用した便利な照明の使い方が出てくることだろう。
関連記事
- すべては“かまど炊きを超える”ために――パナソニックの地道すぎる技術開発とは?
パナソニックには「ライスレディ」と呼ばれる女性達がいる。新しい炊飯器で全国のお米を炊き、自らの鋭い味覚で完成度を判断する専門家集団だ。炊くお米の量は、1つの新製品につき約3トン。毎日、1人がお茶碗7杯は試食するという。 - ダイキンの“薄型”エアコン「UXシリーズ」に宿るデザインの力
ダイキン工業が発表した住宅用マルチエアコンの壁掛型室内機「UXシリーズ」は、滑らかな曲線を描く薄いエアコン。デザイナーにそのコンセプトと技法、そしてこだわりを聞いた。 - 努力せずに女子力を上げる家電、収入を1.5倍にした冷蔵庫など――三菱電機のスゴい技術を見てきた
三菱電機が毎年開催している「研究開発成果披露会」が今年も開催された。今回はその中から、近未来の白物家電に直結しそう技術やコンセプト展示を中心に紹介していこう。 - ミーレのチーフデザイナーが考える新しいキッチンのカタチ
Miele(ミーレ)は昨年、オーブンなどのビルトイン調理機器をフルモデルチェンジして「Generation 6000シリーズ」を完成させた。無駄をそぎ落としたシンプルなデザインが目をひく一方、新しい提案も多く盛り込まれている。チーフ・デザイナーのイェンス・コイネケ氏に詳しい話を聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.