親会社が変わっても“もの作り”は変わらない――東芝ライフスタイルが新体制を説明
中国美的集団(Midea:マイディアグループ)の傘下に入った東芝ライフスタイルが、新体制と今後の事業方針を発表した。マイディアグループから2人の役員を迎えるが、国内における白物家電事業は「これまで通り」という。
中国美的集団(Midea:マイディアグループ)の傘下に入った東芝ライフスタイルが8月8日、新体制と今後の事業方針を発表した。マイディアグループから2人の役員を迎えるが、国内における白物家電事業は「これまで通り」(同社の石渡敏郎社長)とアピール。同時にこれまで進めてきた構造改革とマイディアグループとのシナジー効果により、「2017年度に黒字転換を図る」と強気の構えを見せた。
経営再建中の東芝は、2016年3月末に東芝ライフスタイルの発行済み株式の80.1%をMidea International Corporation Company Limited(MICC)に売却すると発表した。それまで東芝ライフスタイルは冷蔵庫や掃除機などの白物家電とテレビやレコーダーを含む映像事業の両方を手がけていたが、このうち映像事業については東芝映像ソリューションに委譲して東芝グループに残している。
新体制では、東芝ライフスタイルの会長にマイディアグループの雇炎民副社長、また副社長に林南氏が就任したが、同社は東芝ブランドを40年間は使用できる契約になっている。「これまで通り、白物家電の開発と製造、販売およびアフターサービスを行う。東芝コンシューママーケティングを通じて日本市場で販売する形は今後も変わらない」と石渡社長。また、国内7社、海外12社の子会社も継続して運営していく。「東芝のロゴはもちろん、品質基準やカスタマーサポートもわれわれが維持する。日本の流通、消費者の皆様にはご安心いただきたい」
マイディアグループとは?
東芝ライフスタイルに出資したマイディアグループは、1968年に設立した中国の大手家電メーカーだ。総売上高は228億米ドル超を誇り、白物家電におけるメーカーシェアは世界第2位。フォーチュングローバル500にも名を連ねている。そしてマイディアグループと東芝は、1993年にエアコンの技術協力を発表して以来、コンプレッサー製造の合弁会社設立やエアコン/電子レンジでの戦略提携など、23年間にわたって関係を築いてきたという。
石渡氏は、「現在、シナジー効果を最大化するプランの策定を進めているが、東芝のブランド、人材、コア技術とマイディアグループのグローバルネットワークや製品開発力などで市場でのプレゼンスを拡大していく。期待されるシナジーとして、短期的には部品調達先の共通化とマイディアグループとしての調達規模を使い、製品コストを下げることが挙げられる。また双方の製品ラインアップを補完することでお互いの製品群が充実するだろう」とした。具体的には、これまで東芝が製造していなかった300L以下の小型冷蔵庫や単機能のオーブンレンジなどをマイディアグループから調達し、日本向けの改良を施して展開する方針だ。一方でマイディアブランドの製品を国内に流通させる予定はないとしている。
さらに、これまで東芝が進出していなかった欧米やインドといった市場にも今回のアライアンスを軸に展開する。「グローバルなビジネス展開をしていくチャンスをつかみとった」(石渡氏)。さらに中長期的には、家電の設計や開発における技術協力、工場など生産能力の共有、将来のIoT(モノのインターネット)/スマート家電の共同開発、グロバール人材の育成などを挙げ、持続的なアライアンスを目指すという。
今回の会見を通じて石渡氏が強調したのは、親会社や体制が変わっても、東芝のモノ作りマインドを維持するということだった。「冷蔵庫や洗濯機、掃除機、炊飯器といった主力家電商品の国産1号機は全て東芝だった。それまでは存在しなかった商品を作ることで人々のライフスタイルを変える。国産1号機を世に送り出したモノ作りのマインドで、イノベーティブな“人を思う商品”を国内外に提供していきたい」(同氏)
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