“圧倒的コスパ”を目指す新興オーディオブランド「カンピーノ オーディオ」の挑戦(2/2 ページ)
「campino audio」(カンピーノ オーディオ)というオーディオブランドをご存じだろうか。昨年、「makuake」で1341%の支援金額を集めた新興オーディオブランドだ。
リモコンはやめて4N OFCを採用した
一方のイヤフォンも壺をモチーフにしたというハウジングはアルミ削り出し。曲線を多用したデザインは、同時に不要な振動とノイズを抑える役目を果たす。8mm径のダイナミック型ドライバーは、チタンコート振動板にボイスコイルを直結して伝達ロスとノイズを抑えたというもので、5〜4万5000Hzのワイドレンジ再生を可能にした。
面白いのは、「スマートフォン周りに注力していく」という方針にも関わらず、スマートフォン用のリモコンマイクを付けていないことだ。「音質面を考え、リモコンにかけるコストを4N OFCケーブルにかけました」と2人は笑う。
4N OFCとは、99.99%以上の純度を持つ無酸素銅を使用した導体のことで、さらにケーブル内は最近流行の4芯独立タイプとなっている。プラグは通常のシングルエンドのためバランス接続には非対応だが、左右のグラウンドを根本で一緒にしてしまう従来型に比べると左右のセパレーションに優れる。いずれも製品の価格帯を考えればぜいたくな装備だ。
中間マージンの発生する店舗販売は基本的に行わない。一方で製品の本質的な部分を左右する部材にはコストをかけ、同時にデザイン性も高いレベルに引き上げる。これがcampino audio流のコストパフォーマンスアップ術だった。
もう1つ、同社の姿勢の端的に表現しているものがある。それは製品のパッケージ。しゃれたデザインに仕上げているものの、よく見るとどちらの製品も過剰な装飾が一切ない質素な段ボール製であることが分かる。さらにイヤフォンの方は、Amazonの緩衝材付き封筒に収まるサイズにまとめ、発送時のコストも抑えた。過剰包装や開けにくいブリスターパックにイライラしたことのあるユーザーにとってもうれしい配慮かもしれない。
課題は試聴の場
製品にコストをかけることで支援者やユーザーから一定の評価を得たcampino audioだが、目下の悩みは消費者が実際の製品を手にする機会がほとんどないことだ。「将来的には店舗販売も検討してはいきたい。しかし、中間マージンを削ってユーザーに還元しているところもあるため、そのポリシーが理解されるかは分からない」。現在、campino audio製品を扱っている店舗は「利益よりも音楽好きの人に楽しんでもらいたい、という考えの楽器店のみ」だという。
「もともと限界の価格で製品を提示して消費者に判断してもらうビジネスモデルなので価格競争もできません。しかし、“試聴の場”は必要です。イベントへの参加などを含め、これから課題として取り組んでいきます」(同社)
関連キーワード
オーディオ | ブランド戦略 | イヤフォン | デザイン | Bluetooth | ハイレゾリューション | スマートフォン | ワイヤレススピーカー | Amazon | コーデック | カラーバリエーション | クラウドファンディング | ファブレス
関連記事
- 寝起きのだるさにサヨナラ――スマホ連動型カーテン自動開閉機「mornin'」登場
ロビットは、世界初のスマートフォン連動型カーテン自動開閉機「mornin'」を発表した。太陽光による“心地よい目覚め”を体験できる新しい家電。発表会にはHKT48の指原莉乃さん、芸人の徳井義実さんが駆けつけた。 - 家の鍵がスマートになると何が便利なの? 「Qrio Smart Lock」で確かめた
「落とす・なくす・忘れる」といった鍵にまつわる“3大うっかり”とさよならできるスマートロック。でも、実際はそれだけではない。自宅のカギがスマートになると何が便利なのか。体当たりで検証した。 - 「発想はベンチャー、やることは大企業」――ソニーが作ったイノベーションの芽を育てる仕組み
最近、ソニー製品がなんだか面白そう。そんな風に感じたことはないだろうか。今までにない製品を次々と送り出す「Seed Acceleration Program」の仕組みについて、同社新規事業創出部の小田島伸至担当部長に話を聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.