ダイソンの“未来への投資”、シンガポールに大規模なテクノロジーセンターを新設
ダイソンが3億3000万ポンドを投じてシンガポールに研究開発施設を新設した。これまでもモーター製造拠点や空調技術など一部研究施設は存在しており、今回は大幅にそれを拡張したかたち。センター内にはサプライチェーンと物流を管理するコントロールタワーも設けている。
ダイソンは2月13日、シンガポールに新しい研究開発施設「Singapore Technology Centre」(シンガポール テクノロジーセンター)をオープンした。これまでもモーター製造拠点や空調技術など一部研究施設は存在しており、今回は大幅にそれを拡張したかたちだ。
ダイソンは2016年9月に“創業の地”である英国ウィルトシャーに大規模な研究開発施設「テクノロジーキャンパス」を開設したばかりだが、英国におけるエンジニア不足がさらなるテクノロジー開発の妨げになっているとして、エンジニアの育成に力を入れるとともに国外にも目を向けていた。
3億3000万ポンド(約478億円)を投じて新設されたテクノロジーセンターは、シンガポール国立大学の隣に位置し、同社のモーター製造拠点があるウエストパークからも近い。施設内には幅広い技術開発に対応できる最新ラボが多数設けられ、ウエストパークと合わせて1100人のエンジニアや科学者が研究開発に取り組む。
ジェームズ・ダイソン氏は、「私達の野心的な技術革新を実現するためにシンガポールへ投資を行うということは、決して偶然のことではありません。ここでは世界でも有能かつ優秀な人材が人工知能(AI)やロボット工学、流体力学、ヴィジョンシステムによるハードウェア、電気工学、そしてソフトウェアの融合による技術の開発を行っています。ダイソン製品はソフトウェアのアップデートを通じ、時間の経過と共によりよい機能を提供し続けます」とコメントしている。
また、テクノロジーセンター内にはサプライチェーンと物流を管理するコントロールタワーを新設した。年間1300万台を超える製品を作り、世界75カ国で販売しているダイソンは、500以上のサプライヤーから40億個以上の部材を調達している。コントロールタワーは、そのすべてのサプライチェーンシステムにつながっているという。「最新のテクノロジーを用い、高品質な製品をお客様にオンタイムでお届けすべく、製品の品質や配送方法をリアルタイムに追跡しています」(同社COOのジム ローウェン氏)
関連記事
- 世界初公開! ダイソンの空調製品研究施設を見てきた
ダイソンの空調家電に関する研究開発を行っている、シンガポールのDyson Operations Pte.Ltd,(DOPL)研究施設を訪ねた。この施設の奥にまで報道関係者が立ち入るのは初だ。 - 学びながら働けるダイソンの学校――学費負担なしで給与も支給
英Dysonが「Dyson Institute of Technology」の開校計画を発表した。ジェームズ・ダイソン氏が考える次世代エンジニアの育成構想の一環。受講者は、大学レベルのエンジニアリング教育を受けながら、ダイソンの研究開発拠点で研究開発に従事する。 - ダイソン、2015年度は「記録的な成長を達成」――2016年度には次世代モーターが登場
ダイソンが2015年度の業績を発表した。昨年に続きコードレス掃除機が牽引役となり、売上高は前年度比26%増の17億ポンドを記録。 - ダイソンが技術開発を加速、今後4年間で100種類もの新製品投入を計画
ダイソンはグローバルな成長の加速を目指してテクノロジー開発に約15億ポンド(約2775億円)を投資すると発表した。 - イノベーションは常に起こせる――エアブレード発表から見えたダイソンの姿
日本ではダイソンを“掃除機などの家電メーカー”と認識している人が多いと思うが、それは表面的に見える部分だけ。実は「空気を動かす」技術に特化した研究開発とエンジニアリングの企業だ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.