Cerevoが3月22日に予約販売を開始した「1/8 タチコマ」は、家電のテクノロジーを生かしてアニメ「攻殻機動隊 S.A.C.」に登場する思考戦車「タチコマ」を再現したロボットだ。劇中と同様のかわいい仕草や声に加え、ネットに接続して膨大な情報を操り、“並列化”によって知識を共有する。まさに作品の世界観をリアルに持ち込んだコレクターズアイテムだ。
4本の脚や2本のマニピュレーターなど全身に15のサーボモーターと6つのDCモーターを搭載した22自由度のロボット。スマートフォンと同等のCPUを搭載し、フルスタックのLinuxが動く本格派で、専用アプリで操作できるほか、話しかけると自律的にも動作する。
話す言葉は単なる定型文ではない。クラウド連携で音声認識や意図解釈、音声合成、画像認識といった技術を駆使して「AI風の会話」(Cerevoの岩佐琢磨代表)を可能にした。「玉川砂記子さんの音声を600パターン以上収録し、音声認識エンジン並びに音声合成エンジンと組み合わせることで、あの声質そのままにタチコマと会話ができる」。画像認識エンジンも使えるため、例えばりんごを見せて「これは何?」と問えば、「しってますよー、りんごでしょ?」などと、あの声で答えてくれる。
そして最大の特徴が“並列化”だ。並列化とは、ネットを介してタチコマ同士が知識を共有すること。例えばりんごを見せた後、「りんごは甘いんだよ」といった付加情報を与えると、タチコマは音声認識技術を用いて理解し、「りんごは甘い」という情報をクラウドにアップロード。数日後、すべての1/8 タチコマが情報を共有し、誰かが別のタチコマにりんごを見せると、「知ってますよー。りんごでしょ? りんごは甘いんだってね」などと話し出す。追加情報は物体ごとに学習することが可能で、複数の情報が付加されている場合はランダムに選択するという。
これを悪用すると、手持ちのタチコマがハブになり、すべてのタチコマが“変な学習”をしてしまう可能性もある。例えば誰かが「りんごは辛い」という情報を与えると、「りんごでしょ? りんごは辛いんだってね」。誰かの顔を見せて「悪い人だよ」という情報を与えれば、すべての1/8 タチコマが「悪い人なんだってね」と話し出す。つまり、「劇中の『誰だ〜!』のシーンを再現する。この一瞬を楽しむために技術を相当、無駄遣いした」(岩佐氏)
ただし、いたずら程度のものはともかく、公序良俗に反する言葉などを憶えてしまう可能性もある。Cerevoでは、その可能性を考慮して“防壁”を構築。クラウド上でワードをチェックし、不適切な言葉や表現は排除する仕組みにした。1/8 タチコマに情報を与えてから並列化されるまで数日という時間が必要となっている理由だ。
「うごく、しゃべる、並列化する。1/8 タチコマ」の価格は15万7400円(税別)。「クラウドにつないで話すロボットです。われわれは十分に安いと思っております」(岩佐氏)。6月に出荷を開始する予定で、3月22日から予約の受付を開始した。
また第1弾の「ドミネーター」同様、「Special Edition」も用意した。主砲カバーなど9カ所の部品がアルミ削りだしのメタルパーツになった限定版で、価格は2万円アップの17万7400円(税別)。同じく6月に出荷予定だ。
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