ソニーは5月23日、2017年度が最終年度となる第2次経営計画の進捗を報告した。2017年度に「グループ連結でROE10%以上、営業利益5000億円以上」という高い目標を掲げた計画だったが、同社では「これまで取り組んできた経営改革により、目標の達成を狙える基盤は築けた」と自信を見せる。達成すれば1997年以来、20年ぶりの高水準となる。
2016年の業績が好調だった要因の1つは、テレビ事業をはじめとするコンシューマーエレクトロニクスの再生だ。かつてソニーは液晶パネル生産への過剰投資などが災いし、2011年には1500億円もの営業損失を計上した。その後、S-LCDやシャープディスプレイプロダクトといった合弁事業を解消。2014年にはテレビ事業を分社化し、シェアよりも独自性を重視する「規模を追わず、違いを追う」という方針の下で事業運営を徹底してきた。
大画面の4K対応テレビなど高付加価値商品に注力したことにより、同社が販売するテレビの平均単価は3年間で約17%も上昇。2014年に黒字転換を果たして以来、3期連続で増益を続けている。現在では、「安定的な収益貢献が期待できるまでの再生を実現した」という。
映画分野は2017年度の利益見通しが中期経営計画の立案当初から大きく下回る見通しだが、とくに映画製作事業の収益改善に優先的に取り組む方針。6月にはFox Networks Groupの会長兼CEOなどを務めたAnthony Vinciquerra(アンソニー・ヴィンシクエラ)氏がソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの会長兼CEO就任するなどテコ入れを図る。
今後はコンシューマーエレクトロニクス分野に加え、ゲーム&ネットワークサービス分野の収益拡大、モバイル向けイメージセンサー事業の復活、音楽分野や金融分野の持続的な収益貢献を目指し、2017年度以降も高収益の体質を維持していく方針。また中長期の持続的な成長を目指し、新規事業への挑戦、ネットワークサービスなどリカーリング型ビジネス(継続的に収益を上げるビジネス)への注力、そして最近のキーワードにもなっている「KANDO@ラストワンインチ」であり続けることをミッションとして掲げた。「ユーザーに感動をもたらし、人々の好奇心を刺激する会社であり続ける」(同社)
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