調査リポート
» 2007年04月18日 19時34分 公開

景気はホントに良くなった?――東京の中小企業の景況感は

空前の利益を上げている大企業もあるが、中小企業の景気はどうだろうか? 東京商工会議所がまとめたデータからは、都内の中小企業の景況感が見えてくる。

[土肥義則,Business Media 誠]

 平成の長期景気は「いざなぎ景気」を超えたとされ、特に東京は「一極集中」「勝ち組」とも言われている。しかし東京で働いていても「本当に今、そんなに景気がいいだろうか?」と好景気の実感がわかない人も多いのではなかろうか。大企業はともかく、中小企業では「景気がよくなった実感はない」という声を依然よく聞く。

 都内の中小企業の景気動向を示すのが、東京商工会議所が四半期ごとに発表している「中小企業の景況感に関する調査」。都内の中小企業を対象に、業況や売上、民間金融機関の貸出姿勢などについて調査したものだ。4月13日に発表された、2007年1〜3月期のデータを見ると、「景況感は少し回復しているが、依然として厳しい環境が続いている」という結果が出た。

業況感の悪化が継続

 調査対象は東京23区の中小企業2216社で、回答数は888社(回答率40.1%)。FAXと経営指導員による聴き取り調査で、期間は3月8日から14日まで。業種別による有効回答は、製造業244社(27.5%)、建設業122社(13.7%)、小売業153社(17.2%)、卸売業135社(15.2%)、サービス業234社(26.4%)。

 これらの企業を対象に調査を行い、企業の景況感を示す指数(DI)を指標化する。調査項目は業況、売上、採算(経常利益)、資金繰り、民間金融機関の貸出姿勢。業況と貸出、売上については、依然として厳しい状況が続き、採算と資金繰りは改善が見られた。

 今期の業況を示す指数「今期の業況水準DI」では、全業種で−16.9、前回調査(2006年10月〜12月期)−18.9からやや上向いているが、厳しい状況が継続している。過去1年を振り返っても、2けたのマイナスが続いており、中小企業の業況感の悪さが浮き彫りになった。

 業種別では「小売業」が苦戦している。業況の指数では−37.0と高い数字を示した。さらに「前年同期と比べた来期の業況の見通し」についても、「好転」と答えた小売業は4.5%改善の14.6%だが、他の業種と比べると回復見通しが弱い。

前年に比べ悪化している業況DI

 

 今期の売上は全業種で−20.8となり、前回調査(−21.0)から横ばい。「今期の売上水準」では4割の企業が「厳しい」と回答している。なかでも小売業は「厳しい」と答えた企業が57.9%と、半数を超えた。

 今期の採算は全業種で7.7、前回調査から5.3改善し、やや持ち直しの動きが出た。前年同期と比べると、建設業と小売業が「好転」の割合が少ない。来期の見通しでは、建設業で「悪化」と回答した企業が多かった。

小売業の厳しさが際立つ

 前年同期と比べた来期の資金繰り見通しは全業種で−11.7から−8.3の改善。「来期の資金繰り水準」は「緩い」と回答した企業は13.8%に対し、「厳しい」と答えた企業は29.0%と悪化傾向が見られた。なかでも小売業の厳しさは際立っている。前年同期と比べた今期・来期の資金繰りと、今期の資金繰りにおいて悪化している。

 今期の民間金融機関の貸出姿勢は全業種で、前回より1.4%低下し0.2に悪化。前年同期と今期の変化や今期の貸出姿勢については、いずれも小売業で厳しい状況が続いている。

小売業への貸出の厳しさが目立つ

 他の業種と比べ「製造業と建設業の売上は、やや多いものの、業績に結びついていない」(東京商工会議所・中小企業部)と分析。「特に小売業は、厳しい状況が続いている」と指摘している。中小企業、特に小売業に景気回復の実感が訪れるのは、もう少し先の話になりそうだ。

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