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» 2007年06月11日 20時47分 公開

ビットワレット「Edyスマイルクーポン」「Edyハッピー優待」を考える(1)

電子マネー「Edy」を運営するビットワレットが、6月1日から提供している新サービスが「Edyスマイルクーポン」と「Edyハッピー優待」。ビットワレットの狙いは、導入事業者の目的は――複数の視点から、本サービスについて考察する。

[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 電子マネー「Edy」を運営するビットワレットは、6月1日から新サービス「Edyスマイルクーポン」「Edyハッピー優待」の提供を開始した。いずれもEdyユーザーを対象にしており、各種割引などのサービスを受けることができる。

 本サービスについて、ユーザーから見た使い方、概要などは別記事で紹介した通りだ(5月30日の記事参照)。本記事ではビットワレットがこのサービスで何を狙っているのか、また導入する事業者(Edy加盟店)にはどのようなメリットがあるのかなどに着目してまとめよう。

ビットワレット、Edyを利用したキャッシュバック&割引サービス

→ビットワレット「Edyスマイルクーポン」「Edyハッピー優待」を考える(2)

→ビットワレット「Edyスマイルクーポン」「Edyハッピー優待」を考える(3)

EdyスマイルクーポンとEdyハッピー優待の違い(左)。EdyスマイルクーポンとEdyハッピー優待のいずれも、PCでもおサイフケータイでも利用できる(右)

Edyの月間利用回数を10%増やす

ビットワレット社長の眞鍋マリオ氏

 現在Edyの発行件数は、カードやおサイフケータイなどを合わせて3000万を超え(5月28日の記事参照)、トランザクション回数(利用された回数)は月間約1600万回程度だ。ビットワレットでは、Edyスマイルクーポン、Edyハッピー優待の導入によって「トランザクションの回数を10%上乗せしたい」(ビットワレット社長の眞鍋マリオ氏)としている。

 Edyがスタートした当初から、ビットワレットはコンビニやゲームセンター、カラオケ店といった“リアル”の店舗での利用促進に力を入れてきた。現金を手渡す代わりにレジでカードやおサイフケータイをかざし、“シャリーン”と支払うこと――つまり現金をEdyに置き換えることを主眼にして普及に努めてきたのだ。昨年からはインテルやマイクロソフトと協力してネット決済にも力を入れているが(2006年12月の記事参照)、利用シーンの中心がEコマースではなく、リアル店舗であることは間違いない。

 「これまでのEdyは、現金の置き換えとして進んできた。しかしすでに、使えるところも増え、使う人も増えてきた。だからこれからは“電子マネーならでは”のサービスを展開するフェーズに入っていく」と眞鍋氏は話す。Edyの“電子マネーならでは”のサービスとは(1)ペーパーレスで店員に提示する必要がないこと、(2)加盟店とユーザーを近づけること、であるとビットワレットでは説明している。

現在のEdyの普及状況(左)。普及は進んできているとし、次段階では電子マネーならではの価値提供を目指す(右)

さまざまなEdy加盟店を横断して利用できるEdyギフトという形でユーザーに還元することにより、加盟店のマーケティング支援を行い、加盟店とユーザーを近づけることができるサービス、と説明

 Edyスマイルクーポンでは事前にEdyサイトにアクセスして欲しいクーポンを取っておく、Edyハッピー優待では事前にEdyサイトにアクセスして自分のプロフィールを登録しておくという使い方の違いがあるが、いずれもEdyで決済すれば、ユーザーも店員も意識することなく自動的に料金が割り引かれる、という使い勝手では共通している。

 たしかに紙のクーポンを見せるのはちょっと気恥ずかしいことがあるし、使いたいときに限って持っていないということも多いだろう。またクーポンには自分の住所や氏名を書き込まなくてはいけないものも多いが、これを面倒、あるいは書きたくない、と感じる人も多いはずだ。そういう人にとって、今回の新サービス2種類は確かに使いやすいサービスになっている。

 ユーザーも店員も意識することなく自動的に料金が割り引かれる、という点では、実はEdyには以前から、似たような使い勝手のサービスがあった。例えばサークルKサンクスが提供している「KARUWAZA CLUBカード」がそれだ。KARUWAZA CLUBカード内のEdy、またはトクトクポケットアプリにKARUWAZA CLUBを設定してEdyで決済すると、自動的に割引が行われる。

 ただしKARUWAZA CLUBはビットワレットが提供する仕組みではなく、サークルKサンクスが独自に展開するシステムだ。サークルKサンクス以外のEdy加盟店では利用できない。また、カードはともかく、おサイフケータイで設定しようとすると分かりにくいという難点があった。NECのおサイフケータイ向けソリューション「トクトクポケット」(参照リンク)を利用していることもあって、ユーザーから見て「どこのサービスなのか」が非常に分かりにくかったのだ。

KARUWAZA CLUBカードとアプリ。NECのトクトクポケットは、複数の会員証・ポイントサービスを1つのトクトクポケットアプリの中に共存させるシステム。ユーザーが使いたいサービス(カード)を追加する仕組みになっている。サークルKサンクスのほか、コーヒーチェーンの「プロント」などもこれを利用している。限られた容量のFeliCaメモリを効率的に使えるなどのメリットはあるが、事業者(サークルKサンクスやプロント)からアプリへの誘導がほとんどされておらず、ユーザーから見ると分かりにくいものになっていた

“Edyポイント”にしなかった理由

 FeliCaを利用した少額決済方式が複数並立する状況下、他方式の差別化をしなくてはならないと考える事業者が増えてきている。例えばドコモのDCMXでは、電子クーポン「トルカ」と組み合わせる方法を推進しているし(参照記事1記事2記事3)、またEdyの一番のライバルといえるJR東日本のプリペイド型電子マネー「Suica」では、同じく6月1日からポイントサービス「Suicaポイント」を開始している(5月10日の記事参照)

 今回、「Edyポイント」という形を取らなかった理由について、ビットワレットでは「このサービスを採用するのは各加盟店であって、主役は我々ではないから」と説明している。駅ナカでの利用ではポイント付与率を上げるなど、あくまで“JR東のサービス”としてSuicaポイントを展開するJR東日本とは対照的なスタンスだ。「そもそも誰のためのサービスなのかを考えたら、こうなった。仮にポイントという形を取ったとして、それが誰にとって魅力的なのか? を考えたら、(EdyスマイルクーポンやEdyハッピー優待というサービスになったのは)自然な姿」(ビットワレット広報部)

実質上のEdyポイント――ANAのマイレージシステム

 Edyにはビットワレットが提供するポイントサービスはないが、全日本空輸のマイレージシステム「ANAマイレージクラブ」(以下AMC)と組み合わせることができるので、Edyを使うとマイルを貯めることができる。従来はANAマイレージクラブが実質的なEdyのポイントサービスのようになっていた。実際、沖縄でEdyの普及率が高い大きな理由は、AMCでマイルをためたいという動機が強かったためだ(参照記事1記事2

 ただしマイルを貯めるには事前にAMC会員にならなくてはならないし、Edyユーザーすべてがマイルを貯めているわけではない。ANAはビットワレットと共同で全国的にキャンペーンを展開しているとはいえ、AMCはEdyの名前を冠していないこともあって、マイルが貯まることを知らずにEdyを使っているユーザーも少なからず存在する。

AMCカード(左)と、おサイフケータイ用AMCアプリ(右)

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