大学生が就職したい企業と株価の関係

» 2007年06月18日 15時11分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 「学生の就職希望ランキングで上位になると、株価は上昇する。また長期的なパフォーマンス(投資成果)も良好」という結果が出た。学生に人気がある「みずほフィナンシャルグループ」や「全日本空輸」「三菱東京UFJ銀行」の株は“買い”なのか。

 大和総研の投資戦略部は、リクルートが集計している「大学生の就職志望企業」を使って、企業と株価の関係を分析した。大学生の就職志望ランキングで上位の20社まで、株価の推移を調査。株式市場全体の変動と比較するため、対TOPIXで分析、期間は1965年度から2006年度まで。

就職志望ランクキング入りする前の企業の株価はパフォーマンスが高い

 ランキング入りした志望企業のパフォーマンスは、該当年度から対TOPIXの平均を上回った。その後15年間でも、100%を超える上昇となっている。

 毎年、就職志望上位20社の株を保有した場合、その年が経過した時のTOPIXを上回っている割合を調査した。その結果、3年後には8割ほどがTOPIXを上回り、9年後には97%に達するなど、長期的保有で好成績を残していることが明らかになった。

就職志望上位にランキング入りする5年前から前年までは56.4%超のリターン

 志望上位となった後よりも、ランキング入りする前の株価が高いという結果も出た。ランキングとなる5年前から前年までの4年間は、対TOPIXで56.4%を超えるリターン。長期的な保有で好成績を残しているが、ランキング入りする5年前に株を購入した方がパフォーマンスは良い。

初めてランキング上位に入った企業は「過去」のパフォーマンスは良いが、「将来」は短期的に低下

 ランキング20位入りを3年連続して維持した企業の過去の株価を分析した。その結果、過去についてはランキング入りした企業と比べ、ほぼ同じ傾向となった。しかし将来については、15年後から対TOPIXのリターンが低下している。大和総研の投資戦略部では「この辺りで成熟期に差しかかる時期かもしれない」としている。

 初めて上位に入った企業をみると、「過去」の結果に大きな違いがあった。5年前に投資し上位に入った年の直前に売却すると、対TOPIXで183.2%上昇している。4年前で161.6%、3年前で101.3%と高いリターンを残している。しかし「将来」では、ランキング後は冴えない調子が続き、3年後にはマイナスに転落。「新たに人気が高まった企業は、成長のピークが重なり、その後は株価が調整する」と指摘している。ただ4年後以降では、上下しながらも上昇傾向になっている。

3年連続ランクインした企業は、15年後から低下するのか?

“ろうばい売り”は危険? みずほフィナンシャルグループとオリエンタルランド

 2007年の就職志望ランキングに入ったみずほフィナンシャルグループは、いきなり1位となった。みずほフィナンシャルグループの株価は、2003年から上昇を続けている。東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドも、初めて20位にランクインした。株価は2000年に12000円を超えたものの、その後は下落を続け、ここ数年は6000円〜7000円で推移している。

みずほフィナンシャルグループの株価は上昇を続けている

 大和総研投資戦略部の分析では、今後3年間はみずほフィナンシャルグループとオリエンタルランドの株価は低下傾向にある。ただ長期的なパフォーマンスは、良いという結果も出ている。両社の株が下がったからといって、“ろうばい売り”は止めた方がいいかもしれない。

オリエンタルランドの株価は、ここ数年大きな変化はない

 大和総研の投資戦略部では、これまでにも株価と歌手の関係などを分析している。ドリームズ・カム・トゥルーサザンオールスターズの曲がヒットすると、株価が上昇するというものだ。果たして今回の分析は当たるだろうか。上位20社に注目するのも面白い。

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