→第1回:持ち金100万円!超ビギナーとダメ投資家が株に挑戦
→第2回・1週間が経過。超ビギナー3人が買った株はどうなった?
→第3回の「誠倶楽部」に指南役が登場! 「銘柄選びは難しくない」
7月から始まった素人集団のバーチャル株取引企画「誠倶楽部」。超ビギナーとダメ投資家が「持ち金100万円」「期間3カ月」の制限内で気になる株を買い、運用してみるという特集連動企画だ(7月9日の記事参照)。
前回までで全員が7万円ほどのマイナスとなり、すっかり自信を失った誠倶楽部のメンバー。これ以上の下落を防ぐため、先週は指南役に登場してもらった。その教え通りに買った任天堂とディー・エヌ・エーはどうなったのだろうか(7月23日の記事参照)? まずはメンバー紹介から。
誠倶楽部メンバー紹介
土肥義則
Business Media 誠編集部員。3人の中では唯一株式取引経験ありということで一歩リードか。先週の土曜日、小学生からの同級生が大阪から上京してきたのに合わせ、3家族でバーベキューをした。出る話題は子供や健康といったことばかりで「お互いオッサンになったな」とシミジミ。友人宅にあったトレーニングマシーンにトライしてみたところ、土肥だけできたので内心自慢だった。だが、その後1週間、咳も満足にできないほどの筋肉痛に悩まされ、そろそろ真剣に身体を鍛え直すことを考えている。
真野裕章
アイティメディアで「Business Media 誠」を担当する新人の営業部員。就職した4月以来会っていない姉から突然、「誠倶楽部の記事を読んだ」と連絡をもらった。記事にあった真野の写真を見て「やばい、顔がパンパンになってる」とびっくりしたためらしい、心配した姉にオークション詐欺で手に入り損ねた『ビリー・ザ・ブートキャンプ』のDVDを送ってもらった。先週から始めた食事のExcel管理は継続中で、現在はコメント欄をつけて、カロリーが高いものを食べたら先輩と突っ込み合っている。
高橋暁子
大の方向音痴。先日、取材現場に行く途中、無意識に地図をクルクル回していたらしく、編集者には即バレてしまった。取材後もまっすぐ外に出られず、いつも間違った方向に向かって注意される。ちなみに2週続けてのカブドットコム証券の訪問だったのに、今回も途中で迷ってしまった。“迷子ダイエット”で足腰を鍛えていく?!
企画概要
週1回(金曜日の午後3時東京証券取引所終了後)、誠倶楽部のメンバー3人が集まり、その週に買った株の値段の動きをチェックし、翌週どの株を買うかを決める。自分が保有する株に関するウンチク、来週に向けての意気込みを語るほか、他のメンバーに対する意見も飛び交う予定。その議論の模様と銘柄の価格、各自の資産状況(折れ線グラフ)は、翌月曜日に記事を掲載する。期間は7月〜9月の3カ月間。
ルール
この1週間(7月23日〜27日)、金融市場は“大荒れ”の展開となった。前半は参院選挙を前に積極的な売買が手控えられ、日経平均株価は1万8000円前後で推移。だが、米国株の急落で27日の日経平均は一時500円超の大幅な下落となった。
前回、カブドットコム証券で株取引の基本を教えてもらい、それまでの思い違いに気付いた3人(7月17日の記事参照)。指南役・臼田琢美さんの教えは「情報はできるだけ集めて、業績が伴っている好調な銘柄を買え」というもの。これを受けて真野は任天堂(7974)、高橋はディー・エヌ・エー(2432)の株を購入した。前回に引き続き、株取引のさらなるノウハウを聞くためにやってきたが、臼田さんの次なる教えは?
臼田琢美
カブドットコム証券常務執行役。1989年から証券会社などを経て、旧日本オンライン証券の設立に従事、現在に至る。1996年にインターネット上の投資家コミュニティとして国内最大規模の「かぶこーネット(株式投資向上委員会)」を立ち上げる。「る〜さ〜!」はネット上でのペンネーム。テレビ出演や雑誌やWebでの連載など株式啓蒙家としても活躍している。臼田琢美の「かぶろぐ2(kabu.log2)」
土肥「米国株の急落で、日経平均株価が大幅に下がりました」
臼田「現在の相場は非常に難しいですね。米国発の株安が起きていて、市場は不安定になっています。さらに為替が円高になっています。円安メリットのある銘柄が買われていましたが、調整する可能性があるかもしれません」
土肥「さらに自民大敗という政局不安も予想され、市場の不透明感が懸念されます」
臼田「こういった相場では、いい銘柄をいつもより安く買うしかありません。割安な銘柄を買うのは危険でしょう。スーパーで安売りしている特売品(銘柄)よりも、銀座のデパートでセールをしているブランド(銘柄)を『買え』ということですね」
真野「輸出が多い銘柄には、円高の影響が出ると思われますか?」
臼田「そうですね。輸出に頼っているハイテク系の銘柄は、軒並み影響を受けるかもしれません。もしこれ以上の円高にならないと判断すれば、円安メリットが大きい銘柄で安くなっているものを買うのもいいかもしれません」
高橋「為替って影響が大きいんですね」
臼田「もちろんです。企業ごとに想定している為替レートが公表されているので、それを見ておく必要があります。この公開値よりも下がっているとマイナス要因になるので、会社の業績や将来性を見極めるのに重要となります」
それではここで今週(7月23日〜27日)の結果を発表しよう。結果は7月27日(金)の終値だ。
土肥 りそなホールディングス 27万5000円×1株=27万5000円
→25万8000円×1株=25万8000円
エルピーダメモリ 5400円×100株=54万円
→5440円×100株=54万4000円
持ち金合計 93万3000円→92万円
先週比 −1万3000円(−1.39%%)
真野 ヤマダ電機1万2440円×20株=24万8800円
→1万1920×20株=23万8400円
任天堂 5万2900円(ミニ株)×10株=52万9000円
→5万8000円×10株=58万円
持ち金合計 92万8200円→96万8800円
先週比 +4万600円(+4.37%)
高橋 ディー・エヌ・エー 42万9000円×2株=85万8000円
→48万1000円×2株=96万2000円
持ち金合計 93万1100円→103万5100円
先週比 +10万4000円(+11.17%)
土肥は3週連続でマイナス、真野は初のアップも100万円には届かず。高橋は元金の100万円を上回った。
臼田「いいタイミングでディー・エヌ・エー(2432)を買いましたね。日経平均が大きく下げる中で、先週比11.17%は大健闘ですよ」
高橋「『業績が好調な銘柄を買え』という臼田さんの言葉通り購入したら、上がりました。しかも持ち金100万円を上回るなんて」
真野「僕も業績好調な任天堂(7974)を買い、上がりました(7月27日の記事参照)」
臼田「任天堂は26日、ストップ高の6万1800円で取引を終えました。その前日25日には第1四半期の決算発表が14時にありました。その後、14時30分頃まで5万4000円台〜5万5000円ほどでもみ合い、そこから引けにかけて一本調子で上昇しました。決算発表時には十分注意して『買いなのか、売りなのか』判断することが重要ですね」
高橋・真野「保有株が上がったら、今度は売り時が気になります。どうすればいいでしょうか」
臼田「売り時というのは難しいんです。上がっている限りは売らず、勢いがなくなったら売るとか、前の安値を下回ったら売るとか、色々な考え方がありますが、決定的な方法はありません。自分の中でルールを決めるしかないんです」
土肥「株を売買する時に重視するポイントはありますか?」
臼田「トータルで考えるしかありません。買う時はいいんですよ。以前1万円だったことを分かっていて5万円で買うのは納得済みですから。でも、6万円に上がった時に売って、その後10万円まで上がったら『損した』と感じますよね。それは、10万円まで上がるということが分からないからです。だから、売りは満足できないのです」
土肥「『安く売って失敗したな』と思ったら、どうすればいいですか?」
臼田「安く売ってしまったなと思ったら、買い直せばいいんです。自分の成績だけではなくて、上がる株を持っているのがいいんですから。6万円で売ってしまって6万5千円まで上がっていても、まだ上昇すると判断すれば、そこで買い直せばいいんですよ。株のいいところは売ってもすぐに買えるところです。いつも高値で売ることは無理なので、買い直してまた勝負すればいいんです」
高橋「なるほど。もっと上がると思えば、差額は気にしなくていいんですね」
臼田「そうです。儲かった銘柄は相性がいいし、会社についてもよく分かっていますよね。儲かったからといって別の銘柄に買い換えるより、自分がよく知っている会社の方がいいです。一般的にマーケットは連動して上下しますので、タイミングを見て同じ銘柄を売買するほうがいいですね」
土肥「含み損の出ている株を売却して損失を確定する“損切り”があります。ですが、損切りがなかなかできなくて」
臼田「多くの個人投資家は、損切りが苦手ですよね。損を確定するのを避けて、保有株を“塩漬け”にしてしまいます。これはダイエットや禁酒と同じで、やろうとすれば絶対できることなんですよ。自分をうまくコントロールすれば、損切りは難しいことではありません」
土肥「少し儲かったらすぐに売ってしまう個人投資家も多いですよね。せっかく儲かったから利益を確保しなくちゃと、ソワソワしたりして」
臼田「儲かった銘柄の保有日数と損した日数を比べて見てください。全体的に言えることですが、儲からない人の特徴は、損した日数が長く儲かっている日数が短い。自分で決めた損切りを行って、儲かっている銘柄は長く保有するべきですね。いい銘柄は“リア・ディゾン”だと思ってください」
真野「え、リア・ディゾンですか?」
臼田「あなたがマネージャーだと思って、いい銘柄はリア・ディゾンのように今が旬なので手放してはいけない。スキャンダルなどが出るまでは、マネージメントしておくべきなんですよ。株の世界はよく『かわいい子は旅をさせるな。かわいくない子は旅をさせろ』と言います。いい銘柄は長く持ち、よくない銘柄は手放せということです」
高橋「株取引を難しく考えていたのかもしれません」
臼田「例えばラーメン店のオーナーは黒字の店を残し、赤字の店は畳みますよね。株主はうまくいっている店のオーナーだと考えてください」
高橋「初めてのプラスです。しかも持ち金100万円を超えました」
真野「土肥さんは、臼田さんの話を聞かないからマイナスなんですよ(笑)」
土肥「結果がすべてですから、何も言えません」
真野「ヤマダ電機(9831)は、家電リサイクルをめぐり経産省・環境省から厳重注意されたのを受けて下落しました。こうなったら『ニンテンドーDS』と『Wii』の販売が好調な任天堂(7974)1本でいきます」
高橋「連結業績予想を大幅に上方修正し、モバゲータウンが好調なディー・エヌ・エー(2432)を継続保有です。“マザーズ市場のリア・ディゾン”ですよ(笑)」
土肥「りそなホールディングス(8308)は下がりましたね……。エルピーダメモリ(6665)もイマイチだな。うーん、じゃあ今週は僕は買わずに休むことにします」
高橋「ええっ、土肥さん買わないんですか? ずるいですよ」
真野「下がるのが怖いのですか、弱虫(笑)」
土肥「臼田さんは『現在の相場は難しい』と分析していました。米国の株式市場が不安定だし、冷静に相場を見るためにも『休むも相場』ですよ」
真野「たしかに米国がクシャミをすれば、日本は風邪をひくと言いますからね」
真野 任天堂(ミニ株)(継続保有) 5万8000円×16株=92万8000円
高橋 ディー・エヌ・エー(継続保有) 48万1000円×2株=96万2000円
初めての値上がりで“我を見失った”のか、分散投資をせず1銘柄勝負に出た真野と高橋。それとも土肥の「休み」の決断は正しかったのか? 次回8月3日(金)の結果をお楽しみに。今回2人が買った銘柄や、買い方についてご意見・ご感想はこちらから。また記事へのトラックバックもお待ちしています。
臼田さんの売買のポイント
決算発表時には注意。「買いか、売りか」を判断するケースも出てくる。
企業が想定している為替レートをチェックしよう。公開値より下がったら、株価のマイナス要因になるかもしれない。
含み損の出ている銘柄の保有日数は短く、儲かっている銘柄は長く保有する。
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