世界で最も物価の高い都市、最も暮らしやすい都市はどこ?

» 2007年08月08日 14時27分 公開
[Business Media 誠]

 海外駐在者にとって、物価が高く、世界中で最も生活にお金がかかる都市とは――? Mercer Human Resource Consultingが2007年6月に発表した「Worldwide Cost of Living Survey 2007」によると、“海外駐在者にとって最もコストがかかる都市”は、前年に引き続きモスクワであることが分かった。第2位は、前年度の調査から3ランク上昇したロンドン、第3位は1ランクダウンしたソウル。日本人はもちろん、海外からの旅行者や駐在者にも「物価が高い」と悪評高い印象のある東京は、4位に留まっている。

 この調査は、世界の143都市を対象に、住居費、交通費、食費、医療費、娯楽費などに関わる200以上の項目で価格を比較し、ランク付けを行ったもの。ちなみに世界で最も物価の安い都市は、5年連続でパラグアイのアスンシオンとなっており、モスクワで暮らすには、アスンシオンで暮らせる費用の2.5倍以上が必要となる。

ユーロ高の影響もあり、ヨーロッパは物価が高い

 1位と2位を占めたモスクワ、ロンドンだけでなく、ヨーロッパの都市は総じて物価が高い。コペンハーゲンはランキングの6位に入っており、ジュネーブは7位、チューリッヒは9位、オスロは10位、ミラノが11位と名を連ねている。今年度の調査では、ヨーロッパの諸都市がランクアップしているが、これはユーロやその他のヨーロッパの通貨の価値が高くなったことが主要な原因だという。たとえば、ストックホルムは昨年の36位から今年は23位に上昇。アムステルダムも41位から25位に急上昇している。

 ユーロの価値が高いのに対し、米ドルは下落の傾向を見せているが、これが影響して、米国で最も物価が高い都市ニューヨークは昨年から5ランクダウン。今回は15位となった。北米の他の都市も軒並み大幅にランクを下げており、トップ50都市にランクインしたのは、ニューヨークのほかには、42位のロサンゼルスのみだ。

 アジアでは、3位のソウル、4位の東京のほかには、香港が5位に入っている。物価が急上昇している印象の強い中国諸都市は、2007年のランキングでは下降気味で、北京が20位、上海が26位に入ったのみ。中国の主要諸都市の順位が上昇しなかったのは、元の対ユーロ価値が過去12カ月にわたって低かったこと、インフレ率の低さ、不動産の賃貸価格が安定していたことなどが原因と分析している。

最も住みやすい都市はチューリッヒ、ジュネーブ

 Mercer Human Resource Consultingはそのほか、「Quality of Living Survey」という調査も行っている。最も住みやすい都市を、犯罪率や教育水準、交通機関やライフラインの整備の度合い、住環境、自然環境などの諸要素を加味して順位づけしたものだ。2007年の調査によれば、物価の高さで7位と9位に入っているジュネーブとチューリッヒが、それぞれ2位と1位。ランキング6位のコペンハーゲンも11位となっており、物価の高さのみで暮らしやすいか否かが決まるわけではないことが良く分かる。

 ちなみに東京の暮らしやすさは、世界レベルでは35位。そのほか横浜が38位、神戸が40位、大阪が前年度の51位から大幅に上昇して42位にランクインしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.