世の中には多種多様なクレジットカードが出回っているが、上手に使いこなすには所有枚数を絞った方がよい。その観点で「誠世代のカード整理術」(前編)では、おすすめの持ち方を「メイン2枚+サブカード」とした。
では、具体的にその3枚をどのような組み合わせで持てばよいのだろうか?
中編(本記事)では、ユーザーの生活や仕事のスタイル別にお勧めのメインカード2枚の組み合わせを、いくつかのパターン別に考えていく。考え方の基本は、前編で述べた“メイン2枚”の中でもさらによく使う1枚目を選び、その1枚を補完する形で2枚目を選ぶ、という形だ。なお、本記事は別記事「クレジットカードの基礎知識」に準じてクレジットカードのジャンルを分類している。こちらも併せて読んでいただきたい。
→誠世代のカード整理術(中編):本記事
→誠世代のカード整理術 (後編)
クレジットカードの必要性は感じているが、特定の分野の特典やサービスを重視していない。できるだけオールマイティで、無難なものを選びたい。
そういう人のメインカードには、三井住友VISAカードや三菱UFJニコスといった銀行系カード会社が発行するカードや、ジェーシービーなど大手クレジットカード会社が発行するプロパーカード(別記事)がお勧めだ。
銀行系や大手クレジットカード会社のプロパーカードは、サービスや特典内容に偏りがなく、取得ポイントの交換でも自由度が高いことが特徴だ。また、提携カードのように特定のブランド名や店名がつかないので、「どこで使っても違和感がない」のもメリットだろう。また、ゴールドカード以上のプロパーカードはT&E(トラベル&エンタテイメント)分野のサービスが充実しているものが多く、アメリカン・エキスプレスやダイナースクラブといったT&E系クレジットカードの代わりとしても利用しやすい。
銀行系クレジットカードならではの特徴としては、一部ではあるが持っているだけで「銀行キャッシュカード利用時のATMの利用料金が無料」になるものがある。例えば千葉銀行のクレジットカード「スーパーカード」では、銀行やコンビニATMでキャッシュカード機能を使った時の利用料が時間外も含めて無条件で無料になる。このような特典は、“クレジットカードを一応持っておきたいが、頻繁には使いたくない”人にとってもメリットだろう。またキャッシュカードと一体になっているタイプのカードを選べば、持ち歩くカードの枚数が増えないという副次的なメリットもある。
銀行系や大手クレジットカード会社のプロパーカードは汎用性が高い反面、「お得さ」では他のクレジットカードより見劣りする。そのためメインカード2枚目やサブカードは年会費が割安もしくは無料で、特定分野の特典が厚いものがいいだろう。特に2枚目は生活で欠かせない“インフラ”と連携したカードがお勧めだ。電力系や鉄道系、通信系、ガソリン系カードなどの組み合わせは検討する価値がある。例えば、都市部なら、Suica/PASMOが使える鉄道系カード、地方ならばクルマ利用に欠かせないガソリン系カードなどが2枚目として適しているだろう。サブカードは、特典の大きさを鑑みて、スーパーなど日常利用する店舗・ブランドの流通系無料カードがいいだろう。
などが代表例。これをメイン1枚目とし、もう1枚はインフラ系カードを組み合わせる。Suica/PASMOが使える鉄道系カードや、ガソリン系カードなどがオススメ。
出張や旅行でクレジットカードを使うことが多く、飛行機やホテルの利用が頻繁だ――そのような人は、「航空系カード」と「トラベル&エンタテイメント(以下、T&E)カード」がメインカードの候補になる。前者はJALカードやANAカードなど航空会社の名前がついたもの、後者はアメリカン・エキスプレスやダイナースクラブのカードが代表的だ。
航空系とT&Eのどちらをメインカード1枚目にするかは、“頻繁に利用する航空会社・アライアンス※を決めているか”で変わってくる。
利用する航空会社やアライアンスが決まっているならば、その会社の航空系クレジットカードをメインカード1枚目にするといいだろう。マイレージ獲得条件がよいだけでなく、航空会社関連のホテルやショップでの割引など様々な特典があるからだ。さらにクレジットカード利用額に応じてマイル獲得もできるので、出張・旅行から生活全般まで幅広く使うことで多くのマイルを集めることができる。なお、航空系クレジットカードは年会費の割安な通常カードでもいいが、ゴールドカードだと、カードラウンジの利用やマイル交換手数料が無料、毎年のカード更新時にボーナスマイルが付与されるなど特典が付くといった特典がある。飛行機の利用が多いなら、ゴールドカードの方が結局お得になるケースも多いので、前向きに検討したい。
一方、いつも利用する航空会社・アライアンスが決まっていない人は、アメリカン・エキスプレス・カード(アメックス)やダイナースなど、T&Eに特化したカードをメインカードの1枚目にするといいだろう。これらのカードのポイントは幅広い航空会社のマイルに交換したり、ホテルやレストランの利用券にも変えたりできる点。旅行分野の利用なら、飛行機でもホテルでもレストランでも汎用性の高さが魅力だ。
なお、アメックスとダイナースは通常カードでも他社プロパーカードのゴールド並のサービスが用意されており、空港のカードラウンジなどが利用できる。そのため一般的な旅行や出張ならば通常グレードで十分だ。プライオリティ・パス※やコンシェルジェサービス※などが使いたい、海外の一流ホテルで通用するステータスカードが欲しい、といった場合は、ゴールドやプラチナクラスのT&Eカードにするとよい。なお、ゴールド・プラチナクラスのサービスについては別記事で詳しく紹介する。
航空系カードもしくはT&Eカードは旅行やショッピング関連のサービスが充実している一方で、生活に密着したシーンでの特典やサービスはやや弱い傾向がある。そのためメインカード2枚目やサブカードは、それらを補完する目的で選ぶことになる。電力系や鉄道系、通信系、ガソリン系、流通系などの組み合わせがいいだろう。なお航空系カードの中には、JALカードSuica(JR東日本)やTOP&ClubQ JMB(東急カード)のように「航空系+鉄道系」の提携カードもあるので、このような融合型カードを活用するのも枚数を抑えるうまい手だ。
ただし、注意したい点もある。T&Eに特化したアメックスやダイナースは、利用可能店舗の数やネット決済、FeliCa関連サービスへの対応が弱いなど、万能性では他のクレジットカードより見劣りする。国内の場合、アメックスはJCB加盟店でも利用できるようになったが、ダイナースはダイナース加盟店以外では使えない。そのため2枚目を選ぶ時にはブランドの補完を意識したい。ブランドの汎用性(どこででも使える)という点ではVISAブランドのカードを組み合わせるのがいいだろう。
普段の生活や出張で電車を使うことが多く、Suica/PASMO/ICOCA/PiTaPaなどIC乗車券をよく利用しているなら、各鉄道会社やその関連会社が発行する「鉄道系カード」が、メインカード1枚目としてお勧めだ。
首都圏の場合、Suica/PASMOなどIC乗車券の利用でオートチャージが使えるなど利便性が高いほか、鉄道乗車券購入時のポイント付与率が高い、新幹線など特急券購入で割引や特典がある、駅や駅周辺の商業施設で割引やポイント増量サービスが受けられるといったメリットがある。都市部在住者など、“交通手段は電車が中心”の人ならば幅広いメリットがある。
鉄道系カードは「日常移動+生活」と幅広い範囲をフォローし、Suica/PASMOなどIC乗車券機能も使えるなど、汎用性はかなり高い。例えば私鉄系列では、東急カードの「TOP&」では東急百貨店など沿線のグループ商業施設での優待が充実しているのはもちろん、TOKYUポイント連携でJALや出光、JOMOなど異業種での利用もお得になる。PASMOへのオートチャージも可能なほか、PASMO電子マネーとして利用した分にもポイントが加算されるサービスも始まる(別記事)。ゴールドカードもラインアップされている。東急線沿線に在住ならば、これ1枚でも十分なほどサービスが充実している。
JR東日本が発行している「VIEWカード」は、家電量販店や駅ビル・デパートなどとの提携カードが人気が高く、私鉄系カードと同じように、駅の周りにある商業施設で受けられるサービスが使いやすい。これに対し、JR東海「エクスプレス・カード」、JR西日本「J-WESTカード」は、東海道・山陽新幹線の会員制ネット予約サービス「エクスプレス予約」の使いやすさが特徴だ。東海道新幹線を頻繁に利用する人であれば検討する価値がある。
鉄道系カードは“沿線での生活”を軸にサービスや特典が充実しているが、一方で、沿線・グループ外でのショッピングや海外旅行、ネット利用での優待などは、やや弱い傾向がある。そのためライフスタイルに応じて、これらの分野を補完するカードを2枚目もしくはサブカードにするといいだろう。
などが代表例。PASMOやPiTaPaは各私鉄系のカードから選ぶことになるが、自分が住んでいる沿線の鉄道会社が出しているものがいいだろう。系列の百貨店やスーパーなどの利用がおとくなケースが多い。
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