都心部にクルマで乗り入れると、渋滞と駐車場探しで一苦労。かといって、自宅から最寄り駅は歩きでは遠く、クルマじゃないと面倒くさい――都市部郊外のベッドタウンに住んでいると、そう感じることはないだろうか。
都市部周辺でクルマから公共交通への“乗り換え”を促し、都市の渋滞を緩和する。その結果、排出ガスによる環境汚染やガソリンのムダを減らせる。これが「パーク&ライド」のコンセプトだ。もともとは都市渋滞に悩まされていた米国でスタートし、その後、欧州にも拡大。昨今は都市部へのクルマ乗り入れ規制(トランジットモール)や渋滞課金(ロードプライシング)と組み合わせるケースが増えてきた。以前、紹介したカーシェアリング(参照記事)と同じく、“クルマ依存”の在り方を見直し、賢い交通社会を作るための取り組みの1つである。
日本でも昨年7月に、コインパーキング事業者最大手のパーク24と、大阪市交通局、日本信号、大阪メトロサービスが共同で、関西の交通系ICカード「OSAKA PiTaPa」の利用履歴を用いたパーク&ライドシステムの導入を行うなど(参照記事)、新たなサービス形態として取り組みが拡がり始めている。
そして4月20日、パーク24と東武鉄道が、首都圏で初めてとなる交通IC連携のパーク&ライドの商用サービスを開始した。これは首都圏で普及する「PASMO」(Suicaにも対応)を使い、“電車に乗った人は駐車料金を割引する”というものだ。
今日の時事日想は特別編として、パーク24のこのサービスが導入された「タイムズ幸手駅前」駐車場を取材。首都圏初のパーク&ライドサービスの状況と、今後の可能性についてレポートする。
今回、パーク24と東武鉄道の共同事業としてパーク&ライドに対応したのは、「タイムズ幸手駅前」(東武日光線幸手駅)と「タイムズ新座志木」(東武東上線志木駅)の2カ所(参照記事)。駐車台数は前者が89台、後者が368台と、いずれも大型の駐車場だ。両駐車場とも駅に隣接しており“クルマから電車に乗り換える”には利便性の高い立地になっている。
今回、導入されたパーク&ライド対応のタイムズでは、精算機にリーダー/ライターが2つ搭載されている。1つは「PASMO/Suicaの降車情報」を参照するためのもの、そしてもう1つが「PASMO/Suica決済」をするためのものだ。
パーク&ライドサービスを利用するには、出庫時に駐車券を挿入し、パーク&ライド開始ボタンを押す。その後、幸手駅での下車時に利用したPASMO/Suicaをパーク&ライド用のリーダー/ライターにかざすと、IC内の駅降車履歴と駐車日の照合が行われて、一律200円が割引される。その後の支払いは、現金、クレジットカード、PASMO/Suica決済のいずれかを利用できる。
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