第4回 睡眠と心の病気の深い関係――うたた寝をうまく活用しようドクトル・ピノコのプチ元気の薬

» 2008年05月21日 11時30分 公開
[ドクトル・ピノコ(企画:ソフトバンク クリエイティブ),ITmedia]

 「春眠暁を覚えず」とは言いますが、朝に弱い私の場合、春に限らず一年中なかなか布団から出られません。実のところお恥ずかしい話ではありますが、私は毎朝、10分ずつの時間差と、徐々に布団から遠ざかるように計6個の目覚まし時計をセットしているのです。

 つまり、6時に起きなくてはならない日は5時から目覚ましが鳴り始めるわけですね。しかしそれを体が覚えてしまっているのか、「まだ次があるから大丈夫でしょ? あと10分寝ちゃえば?」ともう一人の私が言っているようで、床の上をはいずりながら止めては寝て止めては寝てと繰り返し、結局寝坊するという非常にくだらない朝の格闘を繰り返しているのであります。まるでホラー映画の貞子のようなこの姿を見た男性は漏れなくみんな、ドン引き。1度でいいからカッコいいビジネスマンみたいに優雅なモーニングコーヒーを飲んでみたいなあ。

いつも寝不足な感覚の人は要注意

 ところで、夜きちんと睡眠時間を取っているのに朝起きたら「寝た気がしない」なんてことはありませんか? これはただ朝の気合が足りないといった単純な話じゃなく、「熟眠障害」といって中には病気が原因となっていることもあるんです。特に、働き盛りのビジネスパーソンには無意識のうちに精神的なストレスがのしかかっていることも多く、うつ病などの精神疾患が原因として潜んでいることもあるので要注意です。

 あ、もちろん単純に気合が足りない場合も多々あると思いますけどね。このあたりの線引きも含めて心の病気は大変なんだな。

 病気が原因の場合は、きちんとした診察や治療が必要なので病院に行くことをお勧めしますが、そうではなくただの疲れの場合は、仕事の合間のうたた寝が意外に効果的です。体内時計に従って活動している人間の体には、眠気にも1日のうちでリズムがあり、その山は深夜2〜4時と、昼の1〜4時くらいの2回あるといわれています。

 この午後の時間帯はちょうどお昼ご飯の後ということもあって、血液が消化管の方へ集中して脳へ行く血液が減ることも重なり、相乗効果でさらなる眠気を引き起こすわけです。

 そうか、私が午後のオペ中に眠くなるのは人間の摂理だったんだわ、と上司に言っても怒られるだけだろうなあ。

うたた寝で身を守れ!

 それはさておき、うたた寝にもコツがあります。人間の睡眠には「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」という2つの種類があり、睡眠に入るとまずは「ノンレム睡眠」、つまり脳を休ませる深い眠りに入ります。そして入眠から約90分後に「レム睡眠」、つまり浅い眠りになります。夢を見るのもこの時です。

 うたた寝からスッキリ目覚めるためには深い睡眠に入ってしまう前の「ノンレム睡眠」初期に目覚めることが大切です。さらに、就寝の4時間前からは夜の睡眠に影響をきたしてしまうので良くありません。つまり、上手なうたた寝法としては、午後の1〜4時くらいの間に15〜20分程度寝るわけです。そうすることで覚醒への移行がスムーズに行われ、頭はスッキリ、仕事の能率もアップというわけです。中には昼食後に15分睡眠を取ることで勉強や仕事の能率が上がったというデータが出ている研究もあるんです。逆に30分以上眠ってしまうと目覚めが悪く、起きた後の活動が鈍くなってしまうので逆効果です。

 早速、仕事の効率アップのため今日から食後のうたた寝を実践してみましょう。とはいっても、職場でそう簡単に睡眠を取れるような環境じゃない人も多いだろうなあ……。でも、健康あっての仕事なので、仕事の状況や自分の体と上手に相談しながら、うまくやってほしいと思います。私も目覚まし時計の数減らして、起きられるようにしたいもんだ。

ポイント

  • 熟睡感が得られないことが続くなら、病気が潜んでいることも。
  • 仕事の疲れにはうたた寝が効果的!
  • 午後の1〜4時くらいの間に15〜20分程度のうたた寝がベスト。これで午後の仕事は能率アップ!

著者 ドクトル・ピノコ

女医。医大生時代には体育会に属しつつ、某社キャンペンガールや大手塾講師など数々のバイトもこなし、現在、酒と体力だけには自信アリの超体育会系の外科医として某病院にて働く。趣味は、酒、男、足裏リフレクソロジー。現在、「週刊ビジスタニュース」月イチでコラムを連載中。ぼちぼち書き仕事も募集してます。


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