著者プロフィール:郷 好文
マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・運営、海外駐在を経て、1999年よりビジネスブレイン太田昭和のマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。著書に「ナレッジ・ダイナミクス」(工業調査会)、「21世紀の医療経営」(薬事日報社)、「顧客視点の成長シナリオ」(ファーストプレス)など。現在、マーケティング・コンサルタントとしてコンサルティング本部に所属。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン」
写真がうまくなりたい――そう願うようになったきっかけはありふれたことだった。“ちょっとピンぼけ”ならぬ、かなりピンぼけな写真を撮りまくり、くやしさをかみしめた。ピントだけでなく、アングルもタイミングも下手くそな“我が腕・我が目”をなんとかしたかった。この連載の取材ではデジ屑を量産。原稿と一緒に写真を送ったのに、掲載時に“ボツ画像”になったことも数度ある。
本誌の吉岡編集長は写真好きで、デジカメを複数台持ち、取材活動からその日のおやつまで、ずんとレンズが突き出したデジ一眼で撮る姿が印象的。折りしも同僚Cherryさんまで、ソニーのデジタル一眼レフ「α350」(参照記事)を買い「うまくなろうかな」と言う。近頃は多くの女がすなる“カメラ日和”だ。カメラ上手への憧憬が沸点に達して、ついに「写真教室に行きたいんだけど」とCherryさんに話した。
申し込んだのはソニーが提供する『ITエンターテイメントセミナー 日常を切り取ろう(スナップ入門)』。“日常目にしている風景を切り取る”がテーマで、内容は講義と銀ブラの撮影実習の2つ。
講師はプロカメラマンの坂口恵さん。プロ写真家活動の傍ら、講座や大学で写真を教え、FOTO ARCHIVE LORE(フォトアルヒーブ・ロア)という地域文化を記録する活動にも参画している。
6月8日の日曜日、車も人通りも少ない銀座に出かけた。
「デジ一眼ブームの牽引役は女性だろうから、女性比率が高いのかな?」という予想に反して、参加者は男性7名、女性3名。大画面のVAIO(写真編集講座用)が1人1台置かれる講義室に座り、α350が貸し出されて講義開始。黒縁眼鏡の坂口さんが“何を、どう撮ったらいいか?”とPowerpointの画面を映した。スナップには次の3つの種類があるという。
「旅」は訪れた地の風景や経験の“自分アルバム”。「日記」は食べたものや語りたいものの記録。この2つは撮ろうとして撮るものだから、ストリートを撮るのとはちょっと違う。ストリートスナップとは、何のためにどう撮るのだろうか?
彼女の撮影写真の中で印象深いのが『田舎のコンビニ店内』の一枚。1mも長さがありそうな“お品書き”に、スラスラと達筆で商品名が書かれ、ずらりと天井からぶら下がる。そんな景色を切り取ることを坂口さんはこう示した。
「流れる景色(時間・時代)、一瞬を、即座の判断で写真に撮る」
この一文の意味を、その時は実感できなかった。しかし講義も銀ブラ実習も終え、坂口さんにお話を伺った後で「ハハンそういうことなのか」とまさに目からウロコが剥がれた。ストリートスナップの意味を体感した。それを疑似体験してもらいたいので、私たちの写真をいくつか挙げよう。
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