7月30日から8月1日にかけて東京ビッグサイトで開催された太陽光発電総合イベントPVJapan2008。イベント名のPVは太陽光発電の英訳「Photovoltaic power generation」に由来。環境問題への意識が高まる中、今年誕生したイベントで、221の太陽電池関連メーカーや研究機関などが出展した。
太陽電池は住宅の屋根に設置されたり、計算機に付属したりとさまざまな用途に利用されているが、それ自体が鑑賞物となることは、これまでまずなかった。
もっとデザイン性に優れた太陽電池が作れれば、製品の幅も広がるのではないか。そんな思いから「葉っぱ型太陽電池」を試作したのが産業技術総合研究所だ。PVJapan2008では、そのアプローチに興味を持った来場者がブースに詰めかけていた。
葉っぱ型太陽電池はどのようにして誕生したのだろうか。産総研の山成敏広特別研究員は、「太陽電池の素材に現在主流のシリコンではなく、炭素などを利用した有機材料を用いたことで、薄型で折り曲げられるカラフルな太陽電池を作ることが可能となった」と話す。だが、葉っぱ型太陽電池の変換効率※は3.6%程度で、シリコンを利用した太陽電池に比べるとかなり低い。まだ未成熟ではあるが、山成氏は「おもちゃなどの電源としては十分な値」と自信を持つ。
実際に触ってみると、かなり曲げられることに驚く。プラスチックの下敷きを葉っぱ型に切り抜いたような感触だ。光の反射率が高いので、観葉植物を模しても造花の雰囲気は隠せないが、応用の方法はさまざまありそうだ。
現状では、1リットルペットボトルほどの大きさの葉っぱ型太陽電池1枚を製作するのに「だいたい1万円のコストがかかる」(山成氏)という。しかし、薄く曲げられるだけでなく、シリコン系太陽電池では不可能な緑色や赤色が使えるので、壁や窓向けの建材やレジャー用品など、デザインが重視される用途への応用も期待できる。シリコン系とは違い、有機系の太陽電池の研究は21世紀になってから本格的に始まったばかり。今後の展開が楽しみだ。
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